(※写真はイメージです/PIXTA)

お金に困らないためには、お金を「上手に稼ぐ」・「減らさない工夫をする」・「賢く貯める」という3つの柱が重要であると、企業経営コンサルティングを行う、(株)プレジデンツビジョンの代表取締役・石原尚幸氏は指摘します。3つの柱を実践するうえで身につけるべき考え方、方法について著書『父が子に伝える 13歳からのお金に一生困らないたった3つの考え方』から、親と子どもの対話形式で、分かりやすく解説します。

単価の高いスタバの客足が途絶えないワケ

「価格以外の価値」を武器に「価格競争」を回避

二つの軸を使った表で考えてみよう。

 

縦軸に価格を取る。

 

  • 上へ行けば行くほど高いコーヒー
  • 下へ行けば行くほど安いコーヒー

 

もし、このまま、スタバがコンビニのコーヒーと勝負したらどうだろう?

 

間違いなく「価格競争」となる。相手が100円なら99円で売る。99円なら98円、98円なら97円…と、いつまでも続く。

 

結果、何が起こると思う?

 

そう、稼ぐことができない。それどころか、お金が稼げないことで、お店を続けていくだけの費用が捻出できずに、商売を続けていくことができなくなることだってある。事実、価格競争を挑んだ喫茶店はたくさん閉店してしまった……。

 

では、なぜ、スタバは値段の高いコーヒーを売っているのにもかかわらず、あれほどのお客さんに支持され、稼ぐことができるのか。

 

それは、「価格以外の価値」をお客さんに提供しているからだ。

【図解】スタバの「高価でも売れる仕組み」

[図表1]「価格」ではなく「価値」で勝負したスタバ

 

図に、横軸を入れてみよう。

 

横軸は、「お客さんがくつろげるかどうか?」という軸だ。

 

すると、値段は安いけど、(原則、テイクアウトのため)くつろぐことはできないコンビニのコーヒーと、値段は高いけれど、高級なソファーやおしゃれなカウンターでくつろぐことができるスタバとなる。

 

結果、同じコーヒーを売りながら、コンビニでは100円でしか売れないのに、くつろげるという価値を求めて、スタバでは400円とか500円でも買ってくれる人が出てくる。スタバは、お客さんに「くつろぎ」という価値を提供することで、価格競争を避け、高くても売れる仕組みをつくっていることがわかる。

 

そして、大切なのは、「この二つ目の横軸は誰が考えたか?」ということ。

 

これは、誰かがいってくれたものではなく、スタバの人が自分で見つけた軸だ。

 

スタバの人は、どうしたら自分の価値を「価格」以外で認めてもらえるかを必死に考えたのだと思う。

 

どうしたら、値段が高くてもお客さんが来てくれるお店をつくれるだろうか――と。

 

その結果、

 

「そうだ! お客さんはただコーヒーを飲みたいのではなく、コーヒーを飲みながらくつろいで、おしゃべりしたり、仕事をしたりしたいのだ」

 

と気がついた。

 

そして、価格の縦軸に「くつろぐ」という横軸を足してみたんだ。

 

すると、「コーヒーは高くてもよいからくつろぎたい」というポジションができあがった。それまで、ゆったりとくつろいでおいしいコーヒーを飲める場所はなかった。

 

つまり、競争がない。

 

一人勝ちだ。

 

これを続けた結果、スタバはいまでは世界で有数のコーヒーショップとなり、お金もたくさん稼いでいるというわけ。

 

次ページ「競争に勝つ」と「お金を稼ぐ」はイコールではない

※本連載は石原尚幸氏の著書『父が子に伝える 13歳からのお金に一生困らないたった3つの考え方』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集したものです

父が子に伝える 13歳からのお金に一生困らないたった3つの考え方

父が子に伝える 13歳からのお金に一生困らないたった3つの考え方

石原 尚幸

三笠書房

子どもに、これだけは教えたいこと、 これだけ教えればいいこと―― 【序章】まずは「お金に好かれる人」になろう 【1章】「お金を稼ぐ」にはどうする? ――世の中の「お困りごと」を見つければいい 【2章】「お金を減…

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