単価の高いスタバの客足が途絶えないワケ
「価格以外の価値」を武器に「価格競争」を回避
二つの軸を使った表で考えてみよう。
縦軸に価格を取る。
- 上へ行けば行くほど高いコーヒー
- 下へ行けば行くほど安いコーヒー
もし、このまま、スタバがコンビニのコーヒーと勝負したらどうだろう?
間違いなく「価格競争」となる。相手が100円なら99円で売る。99円なら98円、98円なら97円…と、いつまでも続く。
結果、何が起こると思う?
そう、稼ぐことができない。それどころか、お金が稼げないことで、お店を続けていくだけの費用が捻出できずに、商売を続けていくことができなくなることだってある。事実、価格競争を挑んだ喫茶店はたくさん閉店してしまった……。
では、なぜ、スタバは値段の高いコーヒーを売っているのにもかかわらず、あれほどのお客さんに支持され、稼ぐことができるのか。
それは、「価格以外の価値」をお客さんに提供しているからだ。
【図解】スタバの「高価でも売れる仕組み」
図に、横軸を入れてみよう。
横軸は、「お客さんがくつろげるかどうか?」という軸だ。
すると、値段は安いけど、(原則、テイクアウトのため)くつろぐことはできないコンビニのコーヒーと、値段は高いけれど、高級なソファーやおしゃれなカウンターでくつろぐことができるスタバとなる。
結果、同じコーヒーを売りながら、コンビニでは100円でしか売れないのに、くつろげるという価値を求めて、スタバでは400円とか500円でも買ってくれる人が出てくる。スタバは、お客さんに「くつろぎ」という価値を提供することで、価格競争を避け、高くても売れる仕組みをつくっていることがわかる。
そして、大切なのは、「この二つ目の横軸は誰が考えたか?」ということ。
これは、誰かがいってくれたものではなく、スタバの人が自分で見つけた軸だ。
スタバの人は、どうしたら自分の価値を「価格」以外で認めてもらえるかを必死に考えたのだと思う。
どうしたら、値段が高くてもお客さんが来てくれるお店をつくれるだろうか――と。
その結果、
「そうだ! お客さんはただコーヒーを飲みたいのではなく、コーヒーを飲みながらくつろいで、おしゃべりしたり、仕事をしたりしたいのだ」
と気がついた。
そして、価格の縦軸に「くつろぐ」という横軸を足してみたんだ。
すると、「コーヒーは高くてもよいからくつろぎたい」というポジションができあがった。それまで、ゆったりとくつろいでおいしいコーヒーを飲める場所はなかった。
つまり、競争がない。
一人勝ちだ。
これを続けた結果、スタバはいまでは世界で有数のコーヒーショップとなり、お金もたくさん稼いでいるというわけ。