生命保険の売買が制度化されている国も
このようなことは、日本国内に限らず、世界中で起きています。しかしイギリス、アメリカ、ドイツなどでは、解決策が制度として用意されていて、たとえば、以下のようなときに生命保険の売買が利用されています。
・保険料を支払う余裕がなくなったとき
・生命保険契約が不要になったとき
・長期介護や医療費の増加に備えるとき
・その他の出費のためにまとまった資金が必要になったとき
・法人が廃業やM&Aを原因として(生命保険を)処分するとき
個人でも法人でも有用
生命保険の買取は、個人、法人のいずれにとっても有用です。個人、法人のそれぞれについて、生命保険の買取が有用なものとして機能するケースを紹介します。
◆個人にとって有用なケース
まず、個人の生命保険の買取が有用であると想定されるのは、被保険者ががんや心臓疾患、糖尿病などの慢性疾患に罹った場合や高齢者の場合で、以下のような事情があるケースです。
・病気になったことで仕事を失ったが、QOL(生活の質)を改善したい
・健康保険の適用外の医療、介護サービス等を受けたい
・難病と診断されたが、ひとりで自立生活をしたい
・家族との思い出作りに旅行したい
・配偶者との死別や離婚により保険が不要となった
◆法人にとって有用なケース
法人の場合は、経営者を被保険者として加入した保険(法人保険・経営者保険)の被保険者が高齢で、以下のような事情があるケースです。
・運転資金を確保したい
・銀行借り入れの保証に自宅が担保として提供されているのでこれを外したい
・廃業する予定なので生命保険が不要となった
・動ける間に取引先との関係を清算したい
・M&Aをしたい
まとめ
「生命保険の買取」は、病気になって経済的に困窮した場合などにきわめて有用な手段の一つであるといえます。しかし、「そんな話は聞いたことがない」という人が大半だと思いますし、「本当にそんなことができるのか」と半信半疑な人もいるでしょう。
イギリス、アメリカで始まり実際に利用され救われた人々がいると知っても、日本ではどうなのか? という疑問がわいて当然だと思います。
そこで、次回は、日本で実際に行われた「生命保険の買取」の例をご紹介します。
濱崎研治
株式会社リスク・マネジメント研究所
代表取締役