それでも「即時償却」を選んだほうがよい理由
このように、即時償却を選ぶと、初年度に大きな額を損金算入できますが、計算上は「節税」になりません。このことから、一見、「税額控除」を選ぶほうがよいようにも感じられます。実際、税理士や会計士のなかには、純粋に計算上の損得をとらえ、税額控除をプッシュしている先生方もいらっしゃいます。
しかし、実際には、即時償却を選ぶほうがよいケースが多いのです。
というのも、今は経営が順調でも、将来のことは予測困難だからです。経営には思わぬアクシデントがつきものです。それは、2020年から続く新型コロナウイルス禍の例や、昨今の急激な円安ドル高の例を想起すれば、明らかです。
即時償却を選べば、初年度に税負担が大きく軽減され、そのぶん、いざというときのためのキャッシュを温存することができます。キャッシュが潤沢にあれば、思わぬアクシデントに見舞われても、とれる選択肢の幅が広がります。
したがって、将来にわたって安定的に収益を上げられることがよほど確実でない限り、即時償却を選ぶことをおすすめします。
コインランドリー投資を行ううえでの注意点
コインランドリー投資を行ううえで重要なのは、なんといっても立地です。立地が悪いと、十分に収益を上げられず、最悪の場合、大きな損失を被ってしまう可能性があります。先述の税制優遇措置を受けられたとしても、投下資本を回収できず損をしてしまえば、意味がありません。
YouTubeで数年前に話題になった「【毎月40万円が消えていく】コインランドリー投資で見た赤字地獄」という動画では、コインランドリー投資で失敗して大損失を被った例が紹介されています。
このようなことにならないために、収益を着実に上げられる物件選びが決定的に重要です。また、フランチャイズ事業者を利用するのであれば業者の信用性、シミュレーションの精度も重要です。
コインランドリーは増加し続けていますが、いずれコンビニエンスストアのように飽和状態になります。そうなった場合でも、圧倒的な立地の優位性を確保していれば、着実に利益を上げていける可能性がより高いといえます。
たとえば、住宅地や都心の人口密集地の「都市型ランドリー」と、郊外の商業施設の敷地内にある「郊外型ランドリー」では、立地条件のよしあし・採算性を判断する基準が異なります。
「都市型ランドリー」であれば、周辺の世帯数だけでなく、世帯主の年齢層、家族構成、所得、近隣のスーパーの有無等も計算に入れる必要があります。また、地代やテナント料が高くなりがちですので、それも考慮する必要があります。
これに対し、「郊外型ランドリー」であれば、その商業施設の利用者がどの程度いるのか、商圏はどの範囲までか、敷地内で自動車を近くに駐車しやすいか、視認性は十分か、といったことが重要になってきます。
さらに、昨今はウクライナショック等の影響もあって燃料代が高騰しており、それも計算に入れなければなりません。
そういった事柄について、十分な数値的根拠をもとに合理的なシミュレーションが行われているのか、確認することをおすすめします。
このように、コインランドリー投資による決算対策を検討する場合は、投下資本がきちんと回収できるのか、立地条件を慎重に吟味しなければなりません。決算期が近づくにつれ、決算対策を早く決めなければと焦ってしまいがちですが、そういうときこそ、本記事の内容を思い返し、慎重な判断を行うことをおすすめします。
税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは
【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討
【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成
【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える