(※写真はイメージです/PIXTA)

莫大な資産を保有する日本の富裕層は、近年大きく変わった……海外移住のサポートを行い、これまで2万人を超える富裕層をみてきた大森健史氏は、そう実感しているといいます。いまどきの“シン富裕層”の実態とは? 今回は、暗号資産であっという間に「億り人」になった人たちを中心にみていきます。

“友だち”8人で…大金を手にドバイへ移住

友だち8人で仲良く海外移住したいと言って相談に来て、そのままドバイのビザを取り、実際に移住した人たちもいました。彼らも、暗号資産等の投資に詳しい人がグループに1人いて、いつも8人で仲良く、これからどうするかを決めているようでした。

 

20代から40代の男性で、ほとんどが独身者でしたが1人は既婚でした。九州在住で、田舎でやることもないし、みんなでドバイに移住して、投資活動をして生活していきたい、と言っていました。

 

後で分かったのですが面白いことに8人の中の2人は中心人物のメンター以外とほとんど会ったことがないらしく、知り合いでもなかった人がいたことがとても印象的でした。つまり本当の仲良しメンバー8人ではなかったのです。

 

シン富裕層にドバイが人気なワケ

いろいろな国がある中でなぜドバイなのかというと、ドバイは、先進国に多い「全世界所得課税」という居住者に対して自国を含めたどの国で得た所得にも課税対象とする制度がなく、所得税以外にも譲渡益税、法人税(2023年より変更の可能性あり)や贈与税、相続税もないからです。

 

最近は節税や投資家、最近流行のFIRE(Financial Independence, Retire Early)を考えるシン富裕層に、ドバイは大変人気があります。

 

また日本では、暗号資産が税金面で著しく不利になっています。

 

株式や債券、FXなどで得た利益は、給与収入から切り離し約20%の税率が適用される「申告分離課税」ですが、一方の暗号資産は、雑所得として利益が計算され、給与収入などと合算する「総合課税」方式のため、所得税と住民税の税率がそのまま適用されてしまうと、最大で55%の税金を支払う必要があるからです。

 

暗号資産を売却した場合と暗号資産で商品を購入した場合、暗号資産同士の交換をした場合の3パターンで、課税対象となります。そのため、この8人組もドバイに向かったというわけです。

 

なお暗号資産は現時点で、出国税の対象でもありません。ただし暗号資産はビザ申請をする際の資料を提出しにくいため、筆者たちは暗号資産を持つ人が海外移住する際には、ビザ申請がしやすい国を選ぶよう、アドバイスしています。

 

ちなみにどれだけビザ申請用の書類を準備しにくいかと言うと、ビットコインが出回り始めたばかりの、2012~2014年頃にビットコインを購入したというある方は、暗号資産の取引所もない頃であったため、Yahoo! JAPANが提供するインターネットオークションサービス「ヤフオク!」で買っていました。

 

そうした取得の経緯を、ビザの申請書類に記載する必要があるのですが、その証拠もないのでビザ申請の準備が難航したことは言うまでもありません。

 

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※本連載は大森健史氏の著書『日本のシン富裕層』(朝日新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか

日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか

大森 健史

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不動産投資、暗号資産、オンラインサロンなど、自らの才覚で巨万の富を手にする人々が続出し、日本の富裕層は近年大きく変化した。海外移住サポートを通して2万人以上を知り尽くした著者だから知る彼らの哲学、新時代の稼ぎ方…

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