(※写真はイメージです/PIXTA)

莫大な資産を保有する日本の富裕層は、近年大きく変わった……海外移住のサポートを行い、これまで2万人を超える富裕層をみてきた大森健史氏は、そう実感しているといいます。いまどきの“シン富裕層”の実態とは? 今回は、気軽な気持ちで外国株投資を行った50代開業医の話を中心に、富裕層のリアルをみていきます。

「情報=価値」…GAFA株で大儲けした50代医師

【最近の富裕層にみられる5タイプ】
①ビジネスオーナー型
②資本投資型
③ネット情報ビジネス型
④暗号資産ドリーム型
⑤相続型
(参照記事『普通の人に見えても大金持ち…現代の富裕層、5つのタイプ』

 

では、彼らが巨額資産を手にするまでに、どのような経緯があったのでしょうか。

 

まずは「②資本投資型」、すなわち「開業医や一流企業勤めのサラリーマンなどが、世間一般の平均よりも高い給与を元手に、株式投資や不動産投資で増やしていく。親が資産家(代々病院を経営など)も、一部にいる」というタイプから、彼らの成功パターンを解説しましょう。

 

②資本投資型の代表格として紹介するのは、以前お会いした、年収1億円の開業医の50代男性です。この時点で、実力で高収入を得ている人ですが、あるとき経営していた病院を売って、10億円ほどのキャッシュを手にしました。2008年頃のことです。

 

その頃、「資産は円だけで持つのではなく、海外に出して、外貨でも持とう」というブームがありました。そこで彼も、とりあえず1億円ほどを海外に出しておこうと考えました。

 

特に買いたいものはなかったものの、アメリカ株が良さそうだなと思い、たまたまネットで見つけたアメリカ株の専門コンサルタントに相談料を払って相談し、いろいろと教えてもらったそうです。

 

GAFA(Google〈Alphabet〉、Apple、Facebook〈現Meta〉、Amazon)の一角であるAmazon株にかなりの比率を投資したところ、1億円が最大30億円ほどまでに膨れ上がったのです。

 

今でこそ、「GAFA株の時価総額の膨れ上がり方がすごい」と日本でも盛んに報じられていますが、当時はさすがにここまで値上がりするとは、予想した人は少なかったでしょう。

 

この医師も自分では思い至らなかったものの、たまたまコンサルタントからGAFA株を勧められて、そこに大きく投資して、その後もホールドできたので成功しました。そういう有料のアドバイザーから情報を買うという「情報=価値」もこのタイプは持っています。

 

彼は子どもの教育と自分のリタイア生活のために、投資家ビザで、アメリカのEB-5という投資ビザ(グリーンカード)、ポルトガルのゴールデンビザ、ドバイの不動産投資ビザ、タイのタイランドエリートビザの4つを取り、ハワイへの移住を実現しました。

 

「リスクヘッジで、可能性はたくさん残しておきたい」という意向でした。

 

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※本連載は大森健史氏の著書『日本のシン富裕層』(朝日新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか

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大森 健史

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