損切りはネガティブに捉えず、「得策」と考える
Q:「損切り」するのには、やはり抵抗があります。どうしたら踏み切れるでしょうか?
A:損切りは、ネガティブに考えるものではありません。むしろ損失を最小限度に抑えるものであり、得策です。
幸運を呼び寄せるには、損切りができないといけません。株式投資で100戦100勝はないのですから、どこかで必ず失敗をします。だからこそ、投資の極意とは、失敗を早く判断して損切りすることです。そうすれば損は軽微に収まる。損害は軽くすみます。損した分は、狙い通りの上りを見せる銘柄でたっぷりと儲けるというのが、スガシタ流の投資法です。
そもそも筆者の投資法は、買った株がすぐ上がれば、すぐには売りません。買った株がすぐ上がらなければ売ります。それが基本となりますが、一般の人はむしろ逆でしょう。
買った株がすぐに上がったら、すぐ売る。2割も上がったらもう御の字。「今日の昼ご飯代が浮いた」というような感覚でいると、すぐに売ってしまう。そして反対に下がってくると、売ったら損と思い込んで持ったままです。これが一般の投資家心理です。
ところがスガシタ流はまったく逆であり、買った株が上がれば引きつけます。できるだけ長く持つ。下がれば即、損切りを考える。これが損切りの極意、筆者の考え方です。だから筆者と一般投資家の売り時、買い時に関する判断は、真逆になっています。
株式投資の初心者なら、自分の中で損切りポイントをあらかじめ決めておくといいでしょう。例えば、「10%まで下がったら売る」と決めておくのです。というのも、いざ株が下がると、幾らの段階で売ったらいいのか、必ず迷うからです。だから売れない。ますます売るタイミングを逃します。損切りできずに持ったままだと、株価はさらに下降します。損失を拡大させる。こうなると、投資家心理が陥りやすい蟻地獄のパターンです。
一般投資家は、持っている株が下がると、「待てば上がるのでは」と思う傾向が強いのです。しかし、それは、単なる願望でしかありません。むしろ、下がり始めた株は、さらに下がる傾向があるのです。だから、あらかじめ「10%以上下がったら損切りする」と決めておけばいい。初心者ならば、8%から10%の間に損切りラインを設定しておけばいいでしょう。
「ここまで下がれば売る」というポイントを決めておく
相場の世界には、「三割高下に向かえ」という格言があります。
「3割上がったら売りましょう(利益確定)」「3割下がったら買いましょう」という意味です。短期(目先)ならば30%値上がりすれば、利食い(※)のチャンスです。逆に3割下がったら買いを考える時です。
(※)利食い:購入した価格よりも値上がりした時点で株を売却し、利益を確定すること。
ただ初心者の場合は、3割ではなく2割、あるいは1割の段階で、動いたほうが無難かもしれません。初心者には、8~10%ぐらいの1割ラインで判断するのが動きやすいはずです。
何%を利食いポイント、何%を損切りポイントにするかは、本人の判断です。筆者の場合は、投資して値上がりしたら、基本的にはなかなか売りません。良い株は、引き寄せて、引き寄せて、資金に余裕があればさらに買い足します。買い乗せ(利乗せ)という作戦です。これは初心者には不向きです。
初心者はなによりもまず、下がった場合を想定して、「ここまで下がれば売る」という損切りポイントを決めておくことです。また、「ここまで上がったら売る」という利食いポイントも決めておけば、いざという時に慌てず、タイミングを逃さないですみます。
“トレンドラインを引く”というワザを体得すれば、より有効的に、損切り、利食いのタイミングをとらえられるはずです。そのためにも中級、上級者の人は、とにかくチャートの勉強をすることです。株価の波動を常に研究して、買い時をつかみ、節目節目で売っていく。毎日勉強をして、一歩ずつでも投資技術を磨く努力をしてください。
【図表】損切り、利食いのポイント