営業マンは「人柄」がすべて
Q:証券会社の選び方を教えてください。また、いい営業マンを見分ける方法はありませんか?
A:もし読者が若年層であるならば、あえて証券マンとつき合う必要性はありません。ネット取引をすべきでしょう。ネットならば手数料は安価で、24時間自由に取引ができます。
パソコンの操作が苦手だとおっしゃる中高年の方や高齢者層ならば、証券会社とのつき合いはやはり大切です。ただし、証券会社はあらゆる金融商品をすすめてくるので、注意が肝要です。何を注意するか。それは、証券マンの人柄と能力です。
営業マンは、まずは、人柄がすべてです。どんな商品でもリスクを説明する証券マンは、信用できます。株であれ投資信託であれ、「これはどうですか」とすすめてきて、かつどんなリスクがあるか、きちんと説明してくれる人は大事におつき合いしたほうがいいでしょう。反対にリスクをまったく説明しない証券マンは、NGです。
仮にあなたが、証券マンがすすめてきた商品を理解できなかった場合、どうしますか。よくわからない場合は、まず初心者は絶対に手を出さないことです。何度説明を聞いても理解できない商品を、繰り返しすすめてくる証券マンも問題です。それはたぶん証券マン自身が、内容を理解していないのです。そのような証券マンとつき合っていては、非常に危険です。
デリバティブの金融商品は、種類がさまざまで内容も複雑。証券マン自身がわかっていない場合も実は多いのです。アメリカのサブプライムローンが破綻したのは、ウォール街で売っていた証券マン自身が、内容を理解していなかったからです。後に商品の内容が専門家によって詳しく解明されると、実にいい加減な商品だったことが判明しました。しかしその時はもうすでに遅かったのです。
あなたがよく理解できない商品を何度もすすめてくる証券マンや、わかりやすく説明することができない証券マンは、失格とみなしたほうがいいでしょう。証券マンの人柄と同時に、大事なのは能力です。今の経済や国際情勢をどれだけ把握しているか? 相場観はどうか? などによって、その証券マンの能力が分かります。人柄が良く有能な証券マンと取引すべきです。
利回りを保証する営業マンは即刻出入り禁止に!
どちらにしても、証券マンが持ってくる情報、すすめてくる金融商品は、あくまでも参考例です。すぐに関心を持って食いつくのは、危険です。あくまでも数ある情報、商品の中の1つの参考として受け取らなくてはならない。そして最終的判断をするのは、あなた自身。自分で判断することが最も大切です。
「有名証券会社の営業マンに儲かると言われた」
「とても運用成績のよい投資信託だとすすめられた」
という程度で投資をしていては、いずれ資金は底を尽きます。論外ですが、利回り保証をしてくるような営業マンは、即刻、出入り禁止にしたほうがいいでしょう。証券マンに限らず、投資案件で、そういう類いのセールスをしてくる者は、ほとんどが詐欺ですから十分気をつけてください。
投資の世界のことを少しでも理解していれば、利回り保証などあるわけがないことはすぐに分かるはずです。銀行の利回り保証は0.01%。それなのに5%、10%を保証するというのは、詐欺に決まっています。
しかしそういうことも知らない人が、実は日本にはまだたくさんいることに筆者はショックを禁じ得ません。これは金融リテラシー(金融に関する基本的な知識や技術)がない、つまりお金に関する教養がない、というのが原因の背景にあります。そういう勉強をしてこなかった本人の問題であり、これでは投資で成功することは覚束かないでしょう。
自分との「相性」がいい営業マンを選ぶ
次に、証券会社の選別は、どうしたらいいか。有名どころの大手の証券会社ならいいだろう、という思いが初心者の方には特に多いと思います。筆者の考えでは、大手であれ、中堅であれ、会社の規模は問題ではありません。大手だからといって信用できるわけではなく、中堅だからといって信用できないわけではない。
問題は、その証券会社の担当営業マンがどうか、ということであり、営業マンの人物次第、人柄次第なのです。証券会社とつき合うには、一にも二にも担当営業マンの人柄と能力を見るべき、と筆者は繰り返しアドバイスしておきます。
もう1つ、重要なことがあります。それは、相性の問題です。あなたと営業マンの相性がどうか、です。やはりお互い人間ですから相性が影響する。大切なお金を託すのですから、やはり自分と相性のいい人を選ぶべきです。
一般論として、あなたと相性のいい営業マンを見分けるコツがあります。あなたが聞いたことはすぐ返事をしてくれる営業マン。ほしい情報を伝えたら、すぐに報告してくれる営業マンは、相性がいい。応対が速い営業マンは、最高です。
そしててきぱきと返答する営業マン。約束を守る営業マン。「資料を送ってくれ」と頼んだら、すぐ送ってくれる営業マンなら、おつき合いしてもいいでしょう。これはもう人間性の問題なので、人それぞれの主観が入りますが、具体的な例を挙げれば、やはり自分と相性のいい人を選ぶのがやりやすいでしょう。
できれば、数ある証券会社の中から数社と接触して、気に入った会社、相性のいい営業マンのいる会社と付き合うのがいいでしょう。現実は、使える資金の問題もありますし、多くの証券会社を試してみるのもなかなか難しい。そのため最低2、3社とつき合ってみて、応対のいいところ、応対のいい営業マンを見つけることが、一番間違いの少ない方法だと思います。会社は気に入っても、担当する営業マンの応対が悪い、自分と相性が悪いと感じた場合は、担当を変えてもらう。あるいは別の会社に変えたほうがいいでしょう。
最後に、特に初心者の方に重要なアドバイスがあります。あなたが、証券会社の情報に基づいて金融商品を買ったり、投資した場合、投資したものが全部損となったり、あるいは2回3回続けて損をした場合は、続けるのはやめたほうがいいでしょう。
儲かる情報を持ってきて、人柄が真面目で、誠実な人柄の営業マンならばおすすめです。そのため、真面目で誠実な人を見分ける能力を、自分自身が身につけておくことが大切です。ただ、真面目で誠実な営業マンであっても、儲からない情報を持ってくる場合は、それが二度、三度と続いたら、有能とは言えません。やはりその後のおつき合いはやめるべきです。有能な営業マンとは、顧客を儲けさせる情報を持ってくる人です。