株価の大きな流れをつかむなら、まずは「月足」を見る
Q:関心のある会社の株のチャートを見る時どのくらい過去まで遡って調べればいいでしょうか?
A:株価の動きをあらわすチャートには、日足、週足、月足といった種類があります。これは株価の動きを1日、1週間、1カ月、どのスパン(時間の単位)で見るか、という違いです。
日足は、1日単位。週足は1週間単位。月足は月単位で株価の動きを見る方法であり、年足(1年単位で見る方法)もありますが、一般の投資家は、日足と週足で見るのが普通です。
株価の大きな流れをつかみたい時には月足、まれには年足でも見てみるのがいいでしょう。筆者は普段から日足、週足、月足の3つを見ています。
ただし、どんな時間の単位で見るにしても、チャートをみて株価の動きを把握するには、ある程度の経験が必要であり、経験に裏打ちされた相場観(読み)がないと難しい。一般の投資家はただなんとなくチャートを眺めている場合が多いですが、ただ見ているだけでは何もわかりません。
人口統計のグラフを見るように、チャートをただ呆然と見ていても意味がありません。株価が上がったとわかっても、そこから先が分析できない。では、どう見ればいいのか。どのスパンで見ればいいのか。これはノウハウであり、相場の重要なポイントでもあるので、皆さんは今からお話しする株価の出発点に関して、よく覚えておいてください。
例えば、あなたが日足でチャートを見るならば、アベノミクス相場上昇第2波の始まった2014年10月から見るのが、ベストです。もっとくわしく見たいという人は、アベノミクス相場の始まった(出発点)2012年11月から見るといいでしょう。
筆者の波動理論を学んでいる人は、短期トレンドでは2014年の秋頃から、長期トレンドでは、2012年の後半からいつもチャートを見ているはずです。日足ならば、そのスパンで見ると、今現在の株価の動きがわかりやすいのです。
「今の動きの元」となった株価の出発点までさかのぼる
週足で見る場合は、少しスパンが長くなるので、もっと前の株価の転換点までさかのぼって見ます。それは2007年の小泉郵政改革相場からです。2007年7月の1万8000円をつけた株価から見る。小渕恵三首相時代までさかのぼって見る(2000年4月10日に20833円の高値がある)。
あるいは、今回、株価が2万円をつけましたので、2000年4月の週足で見るならば、このあたりから今までのチャートを見るのが一番いいでしょう。筆者の会社のすべてのチャートは、2014年12月を基点とした設定にしてあります。およそ1年前です。株価の波動の動きが見やすいからです。さらにもう少し長めで見たい場合は、2012年11月14日のアベノミクス相場の出発点から見ます。
チャートを何となく見ているようでは、初級者のレベル。株価は常に動いています。そして今の動きの元となった出発地点がある。そこから見ないと動きが把握できません。今の株価の動きの出発地点がわかれば、現在までの最安値、最高値がわかりますから、トレンドラインを引く目安が立つ。相場の山や谷の、どこにレジスタンスライン(上値抵抗線)を引き、どこにサポートライン(下値支持線)を引けばいいのかがわかるのです。
月足で見る場合は、さらにスパンが長くなるので、1982年10月から見るといいでしょう。なぜなら、前回のバブル相場の出発点だからです。バブル相場の始まり、1989年12月のバブル天井、その後20年にわたるデフレ不況、株価長期下落、そして株価の底入れ(2009年3月10日)、アベノミクス相場の始まり、という株価の長期のサイクル(波動)がわかるからです。
最初の「天井」と「谷」が株価の波動を読む手がかりに
以上のように、相場を読むには、今のこの相場は、いったい何年何月何日から始まったのかということを知らなくてはなりません。
出発点の株価から見れば、最初の天井はどこだったか、最初の谷(底)はどこだったのかがわかり、さらに今の株価がどこへ向かうかを読む手がかり、参考になります。それが株価の波動を読む、ということです。
チャートは何のために見るのか。本物の過去の波動を見るためです。プロの投資家は、過去の波動から未来の波動を予測します。しかし過去といっても、どこまでさかのぼればいいのか、迷います。そこで、今現在の相場の出発地点となったところから見る。それが波動によるチャートの見方の極意です。