“同じ条件の家”を買うのに、買い方や情報を知らないために500万円も(ケースによってはもっと)損する買い方をしてしまっていることがあります──宅地建物取引士、建築士などの資格を持ち、不動産業界の第一線で活躍する美馬功之介氏の著書『「中古住宅+リノベーション」を賢くお得に買うための住宅ローンとお金の話 』(同文舘出版)より、「必ず人生にプラスになる住宅購入」となるための知識を一部抜粋しお届けします。
住宅ローンを組むために「団信」加入が必要となるワケ
Q 団体信用生命保険への加入は必要ですか?
A 必要です。実は必須なんです。
住宅ローンを組む場合は基本的に団体信用生命保険(以下: 団信)に加入しないといけません。逆に言うと、団信に入れないと年収の条件をクリアしても住宅ローンが組めません。すなわち「現金でないと家が買えない人」になってしまいます。
団信とは簡単に言うと、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害の状態になった時に、残りの住宅ローンが弁済されるしくみです。言い方は悪いですが「死亡したらローンはチャラ」のしくみです。残された家族に負担がかかりません。
では、団信に入れないのはどんな人でしょうか?
簡単に言うと健康でない人は入れません。加入時に病歴などの告知義務がありますので、引っかかると入れません。生命保険なので当然かもしれませんね。
中年になると糖尿病や肝炎、肝硬変などが増えてくるので要注意です。これを私は「健康リスク」と呼んでいます。若いうちに住宅を買う理由のひとつでもあります。
病気等で団信に入れない場合は住宅ローンを組むのは困難になります。でもあきらめないでください。使えるローンがあります。それは住宅金融支援機構の「フラット35」です。「フラット35」は団信への加入の有無が選択できます。団信に入らなくても他の条件がクリアできれば住宅ローンが使えますので検討してみてください。
また、民間の金融機関でも「ワイド団信」という一般の基準よりも審査基準が緩和された団信プランもありますので、相談してみてください。
株式会社MIMA 代表取締役社長/不動産エージェント、宅地建物取引士、建築士
学生時代に海外を放浪し、アジア、中東、ヨーロッパの国々の住居や建築を肌で感じ影響を受け、不動産業界に就職。大手不動産会社にてトップセールスとして販売に携わるも、バブル崩壊直後の価格の下落、無理なローンで人生が狂い苦しむ人を目の当たりにする。また、業者都合で物件を売っていく不動産販売にも疑問を感じはじめる。同時期、阪神・淡路大震災が起こり、会社の後輩を亡くし、「建物に潰されて、住まいに殺される」悔しさを経験する。
「住まいの失敗で苦しむ人をなくすこと」をめざして1996年に不動産会社を退職、実家の住宅設備会社「美馬商店」に入社、建築職人として再出発する。建築士の資格を取得し、2003年に代表取締役に就任。社名を「株式会社MIMA」に変更し、下請の設備工事店から元請のリフォーム会社に転換し、「MIMA 建築設計事務所」も開設。
2010年には不動産事業へ進出。住まいの情報発信基地「MIMA すまいるプラザ」を開店し、念願の「中古住宅+リノベーションのワンストップ事業」を地域密着で提供。年間1,600件・延べ15,000件を超える物件を手がける現役社長として、お客様の住宅購入を成功に導くために活動している。アメリカでの中古住宅流通の研究視察にも参加し、日本の住宅流通のしくみを変える使命に燃える。「賢い中古住宅購入」などのセミナーも多数開催。著書に『最新版 必ず知っておきたい「中古住宅+リノベーション」を賢くお得に買う方法』(同文舘出版)がある。
https://mima-yao.com/
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「中古住宅+リノベーション」を“賢くお得に買う”ための疑問をQ&Aですっきり解決!