元気なうちに終の棲家を選んでおくべきだった
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気力を失い、ベッドからほとんど起き上がらなくなった瀧島さんの筋力はみるみる衰えていきます。会いに来てくれた長男夫婦はそんな瀧島さんを見て「施設を変えよう」と言ってくれました。こんなことなら最初から自分のライフスタイルにあった老人ホームを探せば良かったと、後悔の気持ちがいっぱいでした。
仮の住まいと考えていたから、どのような施設でも良いといったものの、本音を言えば、もちろん設備面に不満がありましたし、食事も口に合わず、無理をしていました。入居者ともなかなか話が合わず、少々退屈な思いをしていたそうです。
開業医の奥様だった瀧島さん。自宅はゆとりのある豪華な造りで、四季折々の庭が自慢だったといいます。ずっと住み続ける施設なら、庭の緑のキレイでハイクラスなホームがよかった、好みに合った食事も外せない、バックグランドが似たような入居者が多ければ、楽しく過ごせたかもしれない……次々と悔しい思いがあふれてきます。
また自宅で過ごす以外の選択肢を考えてこなかった瀧島さん。きちんとこれからを見据えていれば、施設に入る可能性についても思いを巡らすことも、長男夫婦と話をしておくチャンスもあったでしょう。ご家族と思いを共有していれば、急な話であっても対応できたかもしれません。
転居する老人ホーム探しを始めた瀧島さんは「一生、自宅で過ごせると思い込んではだめ。終の棲家は元気なうちに探しておくべきだった」と息子さんにこぼしているといいます。
脇 俊介
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