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余生は自然に囲まれて生きていきたい
長男と次男のお嫁さんとの相性が悪く、独身の三男は海外暮らしと、子どもたちとは疎遠になっていた黒川さん。1年前に夫が亡くなり一人暮らしになってから、この先の人生をどこでどう生きるか考えるようになっていました。
あるとき、新聞に掲載されていた老人ホームの広告に目が留まりました。自宅から電車で1時間以上かかる郊外ですが、山と湖が目の前に広がる自然あふれる環境です。子どもたちとのトラブルから解放され、余生はのんびりと自然に囲まれて過ごすのもいいなと思いを馳せました。数ヵ月後にオープン予定と書かれているので早速、問い合わせをしてみました。
2ヵ月後に完成予定の素敵な老人ホームを見つけた
建物が完成するのは2ヵ月後。モデルルームがあるというので見学に行くとバリアフリーに配慮され、使い勝手の良い間取りです。内装はシックで落ち着きますし、何より空気の美味しい最高の環境でした。黒川さんの趣味である絵画のレッスンにも力を入れる予定と聞き胸の高鳴りを感じたといいます。
「ここを終の棲家にしよう」と決断した黒川さんは、すぐに自宅の売却を不動産会社に頼みました。子どもたちは黒川さんとの折り合いが悪いだけでなく、兄弟間の仲も良くありません。「資産を残しても、きっと揉めるだろう」と予想ができたので、老人ホームに入居する前に、贈与を済ませてしまいたいと考えていました。
生前贈与で資産はすっきり。自宅も売却に成功
知り合いの弁護士と司法書士に相談し、銀行に預けてある現金や株は3人均等に生前贈与。自宅は売却。売却額で老人ホームの入居金や月々の利用料を払っていくことにしました。子どもたちも生きている母親の言葉には従わざるを得ず、納得してくれました。
幸いなことに立地に恵まれている自宅はすぐに売却できました。上物は古いので取り壊しになるそうですが、思い入れが強いわけでもなかったのですっきりした気分でした。自宅にあったものはほとんど処分し、老人ホームでは備え付けの家具を使うことにしました。わずかな洋服と趣味の絵画の道具を持って、いよいよ転居となりました。
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