香港ハンセン指数は6%下落
■中国では22日に5年に一度の共産党大会が終了し、翌23日には一中全会と呼ばれる重要会議で新しい共産党指導部が発足しました。それを受けた24日の香港ハンセン指数は6%急落し、上海総合指数は2%安となりました。
■これは、新指導部の顔ぶれが習近平氏に近い人物が多く登用された上、習氏の後継者が見当たらないため、権限が一段と集中し、経済の統制色が強まるとの懸念が高まったためと考えられます。また、人民銀行の易総裁等、金融市場からの評価が高かったメンバーが退任の見通しとなったことも嫌気されている模様です。
市場参加者が期待する政策変更は先送りに
■今回の新指導部人事を見ると、習近平国家主席の考え方に近い人物で固められているため、習近平氏がこれまで進めてきた各種の政策は当面継続される見込みです。それらは、ゼロコロナ政策、不動産投機の抑制政策や対米強硬姿勢といったもので、株式市場における足かせとなってきました。これらが長引けば、株式市場への影響も長引く可能性が高まったと言えます。
■一方、中国が引き続き国を挙げて強化すると見られる、再生エネルギー、環境問題の解決、EV関連、国産化が進展する電子材料や基幹部品は今後も高成長が見込まれるため、投資分野としての有望さは低下していないと考えられます。
今後の展開:割安感が高まりつつある中国株
■ハンセン指数は、今年に入って35%下落しており、リーマンショック後の2009年4月以来の低水準となっています。収益対比の株価評価指標の株価収益率(PER)は7.6倍に低下し、2006年以降の平均から2標準偏差を下回る異例の水準となっています。
■株式市場は、企業業績の先行きに対する期待感が反映されるため、現在が割安というだけでは上昇に転じると考えることは無理があります。今後、政策面で経済をより安定させる施策が取られるか、実体経済の改善を受けて企業業績に上向きの期待が高まるか、等が株価上昇のカギになると見られます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『大きく下落し割安度が高まった「中国株」…今後の展開は?』を参照)。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社