(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●S&P500指数の過去の弱気相場について下落期間と下落率、高値回復までの期間などを検証。

●過去には石油危機やブラックマンデーなどで弱気相場入りに、ただ下落期間や回復期間はまちまち。

●弱気相場の平均下落期間は約1年10ヵ月、ただ、インフレ抑制なら短期間で直近の高値回復も。

S&P500指数の過去の弱気相場について下落期間と下落率、高値回復までの期間などを検証

今回のレポートでは、S&P500種株価指数が過去に弱気相場入りした局面を検証します。一般に、株価が直近の高値から20%下落すると弱気相場入りとされますが、S&P500指数は、2022年1月3日の年初来高値4,796.56ポイントから6月13日の3,749.63ポイントまで、21.8%下落し(終値ベース、以下同じ)、弱気相場入りとなりました。その後も下落基調が続き、10月12日までの下落率は25.4%となっています。

 

1970年代以降、S&P500指数が弱気相場入りした局面は、①1973年1月、②1980年11月、③1987年8月、④2000年3月、⑤2007年10月、⑥2020年2月、の6回ありました(今局面を除く、月は直近の高値をつけた月)。以下、それぞれ、直近高値から大底までの下落期間と下落率、弱気相場入りの原因、大底から直近高値を回復するまでの期間、について確認していきます【図表】。

 

(注)下落期間と下落率は直近高値から大底までの下落期間と下落率。回復期間は大底から直近高値を回復するまでの期間。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
【図表】S&P500種株価指数の過去の弱気相場 (注)下落期間と下落率は直近高値から大底までの下落期間と下落率。
   回復期間は大底から直近高値を回復するまでの期間。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

過去には石油危機やブラックマンデーなどで弱気相場入りに、ただ下落期間や回復期間はまちまち

まず、①について、下落期間は1年9ヵ月、下落率は48.2%でした。原因は、第1次石油危機による深刻なインフレと大幅利上げで、直近の高値回復までは5年9ヵ月を要しました。②について、下落期間は1年8ヵ月、下落率は27.1%でした。原因は、第2次石油危機による深刻なインフレと金融引き締め(通貨供給量の伸び抑制)でしたが、直近の高値回復まではわずか3ヵ月でした。

 

次に、③について、下落期間は3ヵ月、下落率は33.5%でした。原因は、ブラックマンデー(1987年10月19日の月曜日に、ニューヨーク市場で発生した株価の大暴落)で、直近の高値回復までは1年8ヵ月を要しました。④について、下落期間は2年7ヵ月、下落率は49.1%でした。原因は、米ITバブルの崩壊で、直近の高値回復までは4年8ヵ月を要しました。

弱気相場の平均下落期間は約1年10ヵ月、ただ、インフレ抑制なら短期間で直近の高値回復も

そして、⑤について、下落期間は1年5ヵ月、下落率は56.8%でした。原因は、リーマン・ショック(米証券大手破綻に起因する世界的な金融危機)で、直近の高値回復までは4年1ヵ月を要しました。最後に、⑥について、下落期間はわずか1ヵ月ながら、下落率は33.9%でした。原因は、コロナ・ショックで、米政府や金融当局の積極的な対応により、直近の高値回復まではわずか5ヵ月でした。

 

下落期間の短い③と⑥を除くと、弱気相場における平均下落期間は約1年10ヵ月、平均下落率は45.3%、平均回復期間は約3年8ヵ月です。これらを単純に今回のケースに当てはめることは困難ですが、下値リスクには警戒が必要と思われます。なお、③は、米連邦準備制度理事会(FRB)のボルカー議長(当時)がインフレ退治を行っていた時期です。インフレ抑制に成功すれば、③の通り、比較的短期間で直近の高値を回復することも期待されます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株はいつ下げ止まるか? 過去の「弱気相場入り局面」を検証【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

 

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