(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

●ナスダックは今回弱気相場入り、2000年1月以降で弱気相場入り局面は今回を除き4回あった。

●2000年4月の弱気相場入りは米ITバブル崩壊、2018年12月は米中貿易摩擦問題が主因に。

●ナスダックは過去何度も弱気相場入りしているが、長期で考えればその都度悲観する必要はない。

ナスダックは今回弱気相場入り、2000年1月以降で弱気相場入り局面は今回を除き4回あった

ハイテク銘柄の比率が高いナスダック総合株価指数は4月4日、前日比5.8%安の15,587.79ポイントで取引を終え、2024年12月16日につけた直近の最高値(20,173.89ポイント)から22.7%下落しました。一般に、直近1年間につけた高値からの下落率が10%を超えると「調整局面」入り、20%を超えると「弱気相場」入りとされるため、ナスダックは今回の米相互関税ショックにより、弱気相場に入ったと判断されます。

 

今回のレポートでは、ナスダックが過去に弱気相場入りした局面を振り返り、当時の株安の背景と実際の値動きを検証します。なお、検証期間は2000年1月からとしています。この期間、直近高値からの下落率が20%を超えて弱気相場入りした局面は、(1)2000年4月、(2)2018年12月、(3)2020年3月、(4)2022年3月の4回ありました(図表、今局面は除く)。以下、それぞれ詳しくみていきます。

 

出所:Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
【図表】ナスダック総合株価指数が過去に弱気相場入りした局面 出所:Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

2000年4月の弱気相場入りは米ITバブル崩壊、2018年12月は米中貿易摩擦問題が主因に

まず、(1)について、2000年3月10日につけた高値を起点とする下落率は、2000年4月12日に20%を超えました。ナスダックは当時、米ITバブルの崩壊を受けて急落し、下落率は2002年10月9日に77.9%に達しました。株価はその後、いったん持ち直したものの、リーマン・ショックや欧州債務危機の発生などにより、長期にわたって低迷し、2000年3月10日の高値を回復したのは2015年4月23日でした。

 

次に、(2)について、2018年8月29日につけた高値を起点とする下落率は、同年12月21日に20%を超えました。当時の株安は、米中貿易摩擦問題の深刻化が主因であり、下落率は同年12月24日に23.6%に達しました。その後は米中貿易協議の進展とともに、相場は落ち着きを取り戻し、2019年4月23日には2018年8月29日の高値を回復し、(1)に比べ短期間での回復となりました。

ナスダックは過去何度も弱気相場入りしているが、長期で考えればその都度悲観する必要はない

(3)はコロナ・ショックによる弱気相場入りでしたが、積極的な金融財政政策がとられたことで、2020年2月19日につけた高値を6月8日には回復するなど、(2)よりもさらに短期間で収束しました。そして、(4)は米国の物価上昇が弱気相場入りの主因でしたが、当時は米利上げ開始が遅れたとの指摘もあり、ナスダックは弱気相場入り後も下げが続き、2021年11月19日の高値を回復したのは、2024年2月29日でした。

 

今回の弱気相場入りは、米関税引き上げによるところが大きいため、関税交渉が進展していけば、(2)の局面に近い相場展開が想定されます。なお、各局面の直近高値から最も大きく下げた水準から、昨日の終値までの上昇率は、順に1,300.5%、152.0%、127.4%、52.8%となっています。ナスダックは過去、何度も弱気相場入りしていますが、長期の視点で考えれば、その都度、悲観する必要はないと思われます。

 

 

※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ナスダックが過去に弱気相場入りした局面を振り返る【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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