日本の中小企業の倒産件数は2016年以降、毎年4万件を超えています。中小企業が時代の変化に適応し存続していくポイントは、大企業の下請けから脱却し、主体的に地域創生に介入していくことです。少子高齢化に人口流出…。地方が抱える課題にこそビジネスチャンスが埋もれていると指摘する、「宮崎中小企業大賞」受賞した島原俊英氏が、著書でポイントを解説します。

 

SDGsの取り組みで世界から大きく遅れをとる日本企業

つまり、SDGsはそのスタートの時点からあらゆる企業に行動を求めたものでした。企業が動かなければ解決しない課題ばかりだからです。実際欧米を中心にSDGsに照らして自らの行動を律し目標達成に貢献しようとする企業が続々と登場し、SDGsはMDGsでは見られなかった世界的なうねりになっていきました。

 

Googleは2017年には世界中の自社の事業活動の年間消費電力の100%を賄える再生可能エネルギーを購入して使っており、2030年までには業務上の全電力使用量をすべて同じ地域電力網の再生可能エネルギー由来のものにすると宣言しています。

 

Appleも2018年には全世界の事業活動で使う電力を100%再生可能エネルギー由来のものにしており、2030年までに同社の製品の製造に関わるすべてのサプライチェーンの企業が100%再生可能エネルギー由来のものに転換すると明らかにしています。

 

Amazonも2025年までに世界の使用電力のすべてを再生可能エネルギーにするという目標を明らかにしています。さらにMeta(旧Facebook)も、すでに2020年にすべての事業運営に100%再生可能エネルギーを使用しているとしています。

 

これに比べ、日本の企業の取り組みは遅れているといわざるを得ません。SDGsはグローバル企業だけが取り組めばいいものではありませんし、どんなに規模の小さな企業であっても事業活動をする限り世界の一員として、世界基準で自分を見なければならないと思います。今からでも、そして地方からでもできることを着実に進めていかなければなりません。

SDGsに真剣に取り組むメリット

私の会社は2015年に地域の視点や県内資源を活用した事業活動・地域経済の活性化・地域の産業振興に貢献をしたとの理由で「宮崎中小企業大賞」を受賞することができました。また、2018年には経済産業省が「地域未来投資促進法」に基づいて選定する地域未来牽引企業に選ばれました。

 

環境関連活動の積み重ねのなかでいろいろなことにチャレンジしている地元のユニークな企業として行政に認識してもらうことができ、地元での知名度は大きく上がりました。

 

採用活動にも好影響が出ています。また、先の経済産業省の地域未来牽引企業の認定は法人税や事業税などに関する軽減措置が適用されたり、運転資金や設備資金を借り入れる際の金利が優遇されたりと、経営面でもさまざまなプラスをもたらすものになっています。

 

地域企業として地域のために活動することが評価され、地域企業としてさらに力を付けることにつながるということを、私は野菜工場をはじめとするさまざまな活動を通して知ることができました。

 

島原 俊英

株式会社MFE HIMUKA 代表取締役社長

一般社団法人 日向地区中小企業支援機構 理事長

 

本連載は、島原俊英氏の著書『地域循環型経営』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋し、再構成したものです。

地域循環型経営

地域循環型経営

島原 俊英

幻冬舎メディアコンサルティング

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