日本の中小企業の倒産件数は2016年以降、毎年4万件を超えています。中小企業が時代の変化に適応し存続していくポイントは、大企業の下請けから脱却し、主体的に地域創生に介入していくことです。少子高齢化に人口流出…。地方が抱える課題にこそビジネスチャンスが埋もれていると指摘する、「宮崎中小企業大賞」受賞した島原俊英氏が、著書でポイントを解説します。

 

親企業からの要求には応じざるを得ない構造に問題が

それまで40年近く下請け分業構造にどっぷりと浸かっていた中小企業は、親企業の方針転換に対応することができませんでした。従来の親企業と下請け企業の固定された関係の崩壊は見方を変えれば新たな取引先開拓のチャンスともいえるのですが、海外との競争に突然巻き込まれ、親企業から値下げを要求されれば応じるしかできない受け身体質の下請け企業には何もできません。

 

そもそも下請け企業には価格の決定権がありません。親企業が受注してきた時点ですでにこの事業でどれだけの利益をどこから確保するのかが決められているため、口を出せない構造なのです。しかもたとえ安過ぎると思っても下請けから離脱する勇気もほかの市場で戦うための機能もありませんでした。

研究開発や営業・マーケティング能力が乏しい中小企業

下請けに長年安住していても成長できてきたことから、中小企業は受け身体質に染まってしまいました。より安い価格で同じ品質のものを供給する下請け企業が現れたら、親企業から言われるがまま受注価格を値下げせざるを得ません。

 

また親企業からの受注をそつなくこなすだけの下請け企業には研究開発や営業・マーケティングの力を発揮できる人材は育っておらず、自分の目でマーケットを見つめて何が求められているのかを考え、そのニーズをつかんで自らの技術力を活かした製品やサービスを開発するという企業として当たり前のことができないのです。

 

ピラミッド型の下請け構造のなかに組み込まれ、親会社の顔だけを見ていた中小企業は縦系列のなかに孤立したまま存在しています。結局、下請け企業はひたすら受け身で親企業からの注文を待つことしかできず、他力本願に待つほかに打つ手はないのです。

 

島原 俊英

株式会社MFE HIMUKA 代表取締役社長

一般社団法人 日向地区中小企業支援機構 理事長

 

本連載は、島原俊英氏の著書『地域循環型経営』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋し、再構成したものです。

地域循環型経営

地域循環型経営

島原 俊英

幻冬舎メディアコンサルティング

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