フィリピン海外直接投資「14ヵ月ぶり低水準」も経済見通しは強気を維持

10月17日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン海外直接投資「14ヵ月ぶり低水準」も経済見通しは強気を維持
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏による、最新のフィリピンレポート。今週は、フィリピンへの海外からの直接投資(FDI)の現状と、幅広い経済領域に大きな影響をもつオンラインゲーミング会社(POGO)がもたらすインパクトについて解説していきます。

フィリピン不動産市場のカギを握るPOGO

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フィリピンの大手不動産調査・コンサルティング会社Leechiu Property Consultants,Inc.によると、不動産市場の状況は、オフショアゲーミングオペレーター(POGO)の事業継続が許可されている限り、上昇トレンドを維持するとしています。また、過去に起こったように、世界的な景気後退が発生した場合、雇用が国内に移行する可能性があるため、商業用不動産の需要は残ると予想しています。POGOの継続が許可されれば、住宅市場、オフィス市場ともに下支えとなるでしょう。

 

米国の金利が今後12ヵ月間上昇し続けると予想されますが、この金利上昇は、サプライチェーンの改善によって相殺され、コストを削減できるとしています。また、建設費の下落、流通コストの下落、食品価格の下落によっても、部分的に相殺されるだろうとしています。来年後半には、経済が全体的に安定化すると見られ、センチメントが改善され、株式市場が上昇すると見られています。

 

このタイミングで、外国人がフィリピンの不動産に再び投資を始めるとしています。2008年の世界金融危機(リーマンショック)の際には、雇用がフィリピンにシフトし、商業用不動産の需要は維持されました。

 

フィリピンには、インドやベトナムなど他のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)競合国と比較して、平均年齢の低さ、高い語学力から競争優位性があります。リモートワークは、来年まで延長されるものの、BPO業界としては、フルタイム従業員(FTE)の雇用促進プロジェクトが進んでおり、オフィスビルの稼働率には上昇傾向が見られます。

 

フィリITビジネスプロセス協会(IBPAP)が発表している、今後数年間のBPO業界の雇用に関する予測データは、不動産市場にとってポジティブな内容です。IBPAPは、IT・BPO業界が今後6年間で110万人の雇用を産み、これが、2028年までに、476,000平米のオフィス需要を創出すると見ています。BPO業界の雇用には、乗数効果というものがあり、1人雇用することにより、間接的に3~4人の雇用を生み出す効果があるとされています。つまり、6年間で100万人を雇用するということは、実際には300万から400万の雇用が生まれることを意味します。

 

住宅市場については、年間100万戸の住宅を建設するという政府の目標は、低コストで手頃な価格の住宅市場を活性化する可能性がある一方、昨今のインフレ・コスト高が進む中、ディベロッパーが開発コストのマネジメントについて自信を持ち始めるまでは、ミドルからアッパーミドルの住宅セクターの動きは来年横ばいになる可能性が高いとしています。つまり、金利高とロジスティクスの問題により、建設コストが非常に予測しにくい状況となっていますが、来年これが解決できれば、おそらくミドルからアッパーミドルのセグメントも大幅に上昇し始めるだろうとLeeChiuは予測しています。

 

まとめとして、POGOの存続が不動産市場に大きく影響を与えると考えられます。

 

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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