売上を増やす「顧客数×売上単価×回数」
企業は、売上を確保し続けなければ存続できません。そして、売上を増やす要素は「顧客数」「売上単価」「回数」の3つのみです。
売上=顧客数×売上単価×回数
資金が尽きないように、売上を増やしていけるように考えることが、経営戦略です。そのためには、最初に現状分析を行うことが大切で、会計データがもとになります。
どのような業種でも、臨機応変な対応を求められることがあります。例に挙げたアーバンコーポレイションは、多額の黒字決算を発表した数ヵ月後に破綻しています。コロナショックが起きた際の飲食店でも、早い判断をできた企業ほど、赤字拡大と資金流出を少なく抑えられたでしょう。
管理会計は、文字通り、経営を管理するための会計です。成長できそうなチャンスのとき、ピンチが訪れたとき、複数の選択肢に迷うとき―判断の基準はデータをもとにした理論であるべきです。もちろん、勘が重要なタイミングはありますが、データにもとづく検証をして、裏付けを取るほうが望ましいです。
規模を拡大したいのか、リスクを負わずに続けたいのか、経営者によって企業の方針は変わります。経営は判断の連続で、大きな失敗をすると取り返しがつかなくなります。思わぬ落とし穴に引っかからないようにするために、日々データと向き合い、近い未来を予測することが大切です。
管理会計がわかっても儲かるとは限りません。それでも、破綻するリスクが大幅に減ることは間違いありません。管理会計は小規模企業にとっては、事業を続けていくためのツールであり、強い味方なのです。
ドラゴンラーメンの立地はおすすめできないが…
ドラゴンラーメンがあるのは、市役所のそばにある市立公会堂の中です。子どものころに映画を見に行ったり、長男のお遊戯会を見たりした思い出の場所です。正面から入った奥の一角に食堂スペースがあり、そこを借りて営業しています。
入るとすぐにホールにつながる受付があり、そちらとは別の方向に食堂があるので、あまり目が向きません。そのため、存在を知らなければ気づく人は少ないです。私も何度も来たことがあるものの、食堂を利用したことはありませんでした。それ以前に、開業前は食堂があることすら知りませんでした。
そんな場所ですから、テナントが入っても長くは続きません。ドラゴンラーメンの以前は食堂や喫茶店が入っていたそうなのですが、移転や廃業などで、私が借りる前はしばらく空いていたようです。
正直、飲食店としてとてもおすすめできる場所ではありません。公会堂の前は人通りがほとんどないので、フラッと立ち寄ってくれる人は皆無です。
飲食店経営は、①その店を目当てに来てくれる人、②たまたま入ってくれる人の合計が来客数になります。誰もいない場所は②の集客を放棄することになるので、経営は厳しくなります。そのため、②の集客が見込める人通りの多い場所にある店舗は家賃が高くなります。
厳しい場所を選んだのは、再現性のあるノウハウを自らの血肉にしたいからです。
私は、衰退していく故郷を変えたいと思っています。起業者を増やしてもっと面白い街にして、魅力を感じた人が残ってくれたり、移住してきてくれたりする流れを作りたいと思っています。
起業したい人は、資金に余裕がある人ばかりではありません。制約を課して店を続けることで、お金のない人でも成功のチャンスをつかめる道筋を形にできるのではないかと思いました。
こんな思いで、ドラゴンラーメンはスタートしました。幸いなことにたくさんの人に支えられ、なんとか店を続けられています。
ちょっぴり、「条件を厳しくしすぎた!」と思っているのは秘密です(笑)。
石動 龍
石動総合会計法務事務所 代表
ドラゴンラーメン 店主