(※写真はイメージです/PIXTA)

日本に暮らす老若男女のほとんどが抱えている「老後不安」の問題。必死に働いているものの、果たして年金はいくらもらえるのか? 平均値や中央値といった統計資料も多く出回っていますが、金額の確認の際に、意外な落とし穴があるのです。

会社員の共働き夫婦なら「月28万円」が目安だが…

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](令和3年)』で老後不安についてアンケートを取ったところ、77%が「心配(多少心配である、非常に心配であるの合計)」と回答しています。

 

年齢別でみると、20代〜50代の現役世代は8割以上が「老後が不安である」と回答したのに対し、60代では70.1%、70代では62.4%と、不安を抱える割合は緩やかに下降しています。いざ年金を受給してみたら、そこまで心配するほどではなかった…という人もいるのでしょう。とはいえ、それでも高齢者の6~7割が「老後(今の生活)が心配」と答えているわけですから、何らかの対策が必要だといえます。

 

老後生活の主な収入源は公的年金です。自営業であれば国民年金(老齢基礎年金)、会社員や公務員であれば、国民年金に加えて厚生年金(老齢厚生年金)が受け取れます。

 

実際の年金額は、それぞれ以下の計算で算出されます。

 

■国民年金

780,900円(平成16年度額)×改定率×保険料納付月数/480月

 

■厚生年金(報酬比例部分)

平均標準報酬額※×5.481/1000×被保険者の月数

※過去の標準報酬に再評価率を乗じて現在価値に置き換える

 

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、自営業など国民年金の平均受取額は月額5万6,358円。一方、厚生年金(第1号)の受取額は月額14万6,145円でした。厚生年金についてさらに男女別にみてみると、男性は17万0,391円、女性は10万9,205円。

 

つまり自営業の場合、夫婦でもらえる年金額は月々11万円程度、会社員(公務員)の片働き夫婦の場合は合わせて20万円程度、会社員(公務員)の夫婦共働きであれば、合わせて28万円程度となる計算です。

 

おおよそのものではありますが、上記の金額を見て「老後不安」を払拭できるでしょうか。生活状況は家庭ごとに異なりますが、安心できる金額ではないかもしれません。

共働き夫婦の生活費、月額22.5万円だから「楽勝?」

総務省『家計調査』(2021年)によると、ともに無職の65歳以上夫婦の1ヵ月の消費支出は22万4,436円とのこと。夫婦共働きであれば、月々28万円なのですから、単純に考えるなら、月々5万円程度のゆとりが出る計算です。

 

「意外と余裕だし、貯金だってできるかもしれない」

 

などと思うのは早計です。この28万円は、あくまでも給与でいうところの「額面」なのです。

 

公的年金のうち、障害年金と遺族年金は非課税ですが、老齢年金は雑所得扱いで、課税対象なのです。課税対象となるのは、65歳未満は108万円以上、65歳以上は158万円以上であり、次の数式から計算されます。

 

所得税 = (年金額-社会保険料控除など各種控除) × 5.105%(所得税率5%×復興特別所得税1.021)

※1円未満は切り捨て

 

国民年金だけの受給なら課税されませんが、平均的なサラリーマンだったなら、「天引きされた年金額」を受け取ることになります。

 

ちなみに「公的年金等の受給額の合計額が400万円以下」かつ「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下」との2条件を満たせば、確定申告は必要ありません。どちらか一方を超える場合には、年金受給者でも確定申告が必要です。

 

前出の家計調査によると、消費支出22万4,436円に加え、実際は所得税・住民税・健康保険料等の非消費支出が月々3万664円かかってくるため、合計で25.5万円ほどになる計算で、共働き夫婦の黒字額は月々2.5万円程度と、先ほどの半分になります。

 

年金に税金がかかることをご存じない人は意外と多く「なんでこんなに少ないんだ!」と驚く人もいるのです。年金頼みの高齢者には、数千円でも貴重です。正確な老後のマネープランを描けるよう、実際の年金額の正確な把握が望まれます。

 

 

幻冬舎ゴールドオンライン編集部

 

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