(写真はイメージです/PIXTA)

相続財産のなかに「株式」がある場合、相続手続きはどのように進めたらよいのでしょうか? 今回は相続財産のなかに株式がある場合の手続きの詳細や注意点について、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士がわかりやすく解説します。

株式の相続手続きのポイント

上場株式の場合

上場株式の相続手続きは、被相続人の証券会社の口座のままでは、売買や換金ができません。そのため、基本的には、相続人が、証券会社に口座を開設し、当該口座に被相続人の株式等を移管してもらうという手続きをとることになります。各証券会社にて、相続手続きをとりますので、被相続人が取引をしている証券会社の数が多い場合は、手続きが非常に大変になります。

 

被相続人が所有していた株式には、配当金が支給されていることもあります。配当金については、被相続人宛てに通知が届くことが多いので、それらを相続人間で確認して、現状を把握したうで、処理方針を検討する必要があります。上場株式の配当金は、専任の信託銀行等が手続きを担当しています。各銘柄によって、担当の信託銀行が異なりますので、どの銀行が担当かを確認し、必要に応じて、配当金の相続手続きをとるようにしましょう。

 

非上場株式の場合

非上場株式の相続手続きは、株主名簿の「株主」の記載を変更してもらうことになります。非上場株式の会社又は非上場株式を取り扱っている信託銀行に連絡をして、株主名簿の「株主」の記載を変更してもらいましょう。株主名簿の変更手続きに必要な資料等については、当該会社又は信託銀行に確認する必要があります。

株式の相続の注意点

株式の相続の注意点としては、株式の評価金額を確認しておくということです。株式は(特に上場株式は)、預貯金とは異なり、日々株価が変動します。相続発生後、遺産分割までのあいだに株価が変動することになりますが、遺産分割実務においては、分割時にもっとも近接した時点での「終値」によって算定することが多いため、この点には留意が必要です。

 

また、相続した株式を売却した場合、譲渡所得税が発生し、思ったより手取り金額が少なくなることもありますので、株価や取得価額等も確認しておくとよいかもしれません。

 

非上場株式の場合は、上場株式のように取引価格が定まっていません。相続税評価金額等の一定の基準となる株式評価金額はありますが、市場に流通している株式ではありませんので、すぐに換価することが難しく、また、実際の売買金額が相続税評価金額よりも低くなることも少なくありません。

 

そのため、非上場株式が、相続財産のなかにある場合は、なるべく早く相続税評価金額や、買い手がいるのか、買い手はいくら位で株式を購入してくれるか等を確認するとよいでしょう。この場合、場合によっては、弁護士等の専門家にアドバイザーとしてはいってもらう必要もあります。

 

また、被相続人の営む事業に関する会社の株式であった場合、上場株式を保有している場合と異なり、当該会社を今後どうするのかという経営面の問題もあるため、相続人間で話し合う必要があります。加えて、いわゆるベンチャー企業の株式であった場合、いわゆる株主間契約書において株主が亡くなった際の規定が存在する可能性もありますので、それについても確認する必要があります。

 

まとめ

株式の相続は、信託銀行との書類のやり取りや配当金の手続きの対応が必要となりますので、時間がかかり負担が大きいものになります。また、非上場株式では、会社とのやり取りも必要となり、相続人にとっては非常に大変な手続きとなることが少なくありません。そのため、なるべく早く専門家に相談をして、手続きについてアドバイスをもらうとよいでしょう。

 

 

堅田 勇気

Authense法律事務所
 

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