「複数の移動平均線より上か下か」でトレンドが読める
トレンドは、より長い時間軸の動きに影響されます。そこでトレーダーは複数の時間軸のチャートを見比べています。しかし初心者が最初からこれをやると混乱してしまいます。そこで本連載では、1時間足か4時間足で固定することを決めています(詳しくは連載第3回を参照)。
そこで自分が使う時間軸(1時間足か4時間足)に、それより長い時間軸の21SMAを同時に表示させるテクニックを使うことにします。こうするとひとつの時間軸のチャートを見ているにもかかわらず、より長い時間軸のチャートで示される方向性も示してくれるため、強いトレンドに乗れる確率が高くなります。
「複数の移動平均線の上か下か」このサインを見つけるだけで強いトレンドが探しやすくなります。
まず1時間足チャートに、大まかな4時間足の21SMAと日足の21SMAを同時に表示させて計3本の移動平均線を出してみましょう。考え方は単純です。1時間足の21SMAが1×21本で21SMAになるため、同じ理屈で、4時間足の21SMAを4時間×21本で84SMA、日足の21SMAとは24時間×21本で504SMA、となるのです。
つまり、最初に取引のタイミングに使う1時間足で21SMAを表示させます。加えて1時間足チャートに4時間足の21SMAに相当する84SMAを表示させます。そして日足に相当する504SMAも表示させます。これで、1時間足チャートしか見ていないのに同じ画面で4時間足の21SMAと日足の21SMAの位置を見ることができるのです。
では下記の図表1と図表2で、ポンド/円の1時間足チャートにポンド/円4時間足と日足のそれぞれの21SMAを表示して、具体的な使い方を見ていきましょう。
[図表1]1時間足での取引の例
すると、Aの部分で1時間のローソク足は3本の移動平均線の下側になりました。3本の下側ということは、日足でも4時間足でも1時間足でも21SMAの下側になるということです。1時間足で売りの場合はこうした「3本の移動平均線の下になった」チャートを探すようにしましょう。
上記図表1での売りタイミングは、Aの「3本の移動平均線の下」になったタイミングです。もしくはB・C・Dの21SMAに戻ってきて再び下げ始めるタイミングです。「再び下げ始める」とは、再び3本の下になるということでもあります。
Eはトレンドの最後であまりうまくいきませんが、仕方のないことです。これを「仕方のないこと」とわかって損切りして次の取引に臨めるか、落胆して取り戻そうと無理をしてしまうかで収益はだいぶ変わります。
4時間足で取引する場合は、チャートに21SMAを表示させるのに加え、先ほどの1時間足の例のように、21の6倍(つまり24になる)の126SMAを表示させます。この126SMAが日足の21SMAの位置を示してくれます。
初心者は「確率の高い部分」だけで取引を
下記の図表2を見ると、ローソク足が2つの移動平均線の両方の下側になっている部分(A・B)と、上側になる部分(C)があります。
[図表2]4時間足での取引の例
この部分は、A・Bは日足の21SMAの下側にあり、それに加えて4時間足の21SMAより下側ということですし、Cは日足でも4時間足でも上側ということになります。
つまり4時間足より長い日足の時間軸がトレンドになっていて、短い4時間足でもトレンドが出ているので、1時間足の「3本の移動平均線の下」の例と同じように、取引がうまくいく可能性が高い部分なのです。こうした確率の高い部分だけで取引をすれば、初心者でも利益を得られやすくなります。
ちなみに4時間足チャートも3本で表示したいなら8時間足の21SMAに相当する42SMA、12時間足の21SMAに相当する63SMAを表示させてもよいでしょう。
イラスト:伊藤ハムスター