取引を開始したら「すぐに」損切りに備えた注文を出す
トレンド相場で確率の高い取引をしていても、これまでの事例のようにトレンドの最後では損切りさせられてしまいます。これはFXの取引経費でもあり、リスク管理上も必要なことです。
FXはリスクを管理できる人が生き残り、利益を積み上げることができます。そのためには、資金全体を考えたリスク管理と、取引1回ごとのリスク管理が基本になることをお話ししました。
この1回1回の取引でのリスク管理が、損切り注文です。前回紹介した図表1のEは「仕方のない」とお話ししたようにエントリーしたポイントがトレンドの最後で、うまくいかない取引となることも起こり得るのです。ただそれが、いつ起こるかはわかりません。
そこで、相場にエントリーして取引開始したら、直ちに損切り注文を出して備えておかなくてはなりません。損切りは、ストップ・ロスともいうように、相場が自分の想定通りに動かない場合にそれ以上損を拡大しないために、ロスをストップさせることは、1回1回のトレードでのリスク管理として欠かせないものです。
この損切り注文が初心者には難しいのです。損を抑えようと狭い値幅で設定すると、ちょっとした値動きですぐに損切りされて資金が減ってしまいます。ならばと損切り値までの幅を広くすると、頻繁に損切りにかかることはなくなりますが、損切りされたときの損失が大きくなり、一気に多くの資金を失ってしまいます。
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ストップ・ロス
相場が不利な方向に進んだとき、損失の拡大を防ぐためにポジションを決済し、損失を確定させること。日本では「損切り」といいます。
「仕方のない損」は取引経費と考える
このように損切りがうまくいかない理由は主に2通りあります。
ひとつはここまでお話ししてきたトレンド相場でない場合。そしてもうひとつが損切り値の置き場がわからない場合です。
まずトレンド相場でない場合は、取引してはいけません。トレンドや方向性の判断を間違えている場合は3本または2本の移動平均線に従っていません(前回の図表1参照)。
トレンド方向だったけど、エントリーしたら方向が変わってしまった場合は仕方ありません。トレンドは永久に続くことはないので、どこかで反転したり流れが変わることが起こります。たまたま自分が今回取引したタイミングがそうであったというだけのことです。相場で得る利益に対する経費と考えましょう。
押し目より「少し下」が損切りポイント
初心者に難しいのは損切りポイントをどこにするかです。
では、具体的にどこに損切りの値を置くかというと、エントリーした価格(建値)の直近の過去の高値や安値の少し上か下が損切り値を設定する目安になります。一般に押し目や戻り高値といわれる値の付近です。
このため、損切り値とエントリー値(建値)の幅が狭いほうが、もし損切りになっても損失は小さくて済むことになります。ですから、押し目、戻り高値でエントリーすることが、重要になってくるわけです(下記の図表参照)。
[図表]損切りをどこに置くか
そして絶対にやってほしくないのが、一度決めた損切り注文をあとから変えてしまうこと。リスク管理の意味がなくなり破滅への道につながります・・・。適切な損切り注文を置く方法を知り、そのうえで、仕方のない損失は許容しなくてはなりません。
イラスト:伊藤ハムスター