エントリー・タイミングは「21SMAの近く」で
FX取引で方向性の次に大事なのが買う・売るのタイミング、つまりエントリー・タイミングです。
FXでは、相場にエントリーしてポジションをもったら、あとは損失で決済するか利益で決済するしかできません。エントリーがすべてなのです。
長期のトレンドが上昇であれば、値動きの方向は上で「買い」しか考えないのはお話ししたとおりです。このとき自分が取引に使う時間軸で一度21SMAに接近するか、時には下抜けたのに、再び21SMAを上抜けるタイミング、ここでエントリーします。下記の図表1でいえば、AまたCのところです。
[図表1]移動平均線を使ってエントリーする
ただし21SMA付近で下げ止まったのを確かめてからエントリーします。下げ止まりを確かめないとそのまま下げ続けるかもしれず、危険です。
例えば下記の図表2を見てみると、21SMAに沿った動きのなかでも、何度か21SMAに接近する場面があることがわかります。こうしたタイミングで買いエントリーすると、チャートのようにすぐに価格が上がっていき、利益が乗り始めます。
また、このチャートは1時間足ですが、より長い4時間足や日足で上昇トレンドになっているということが、前提としてあることを忘れないでください。
[図表2]よいエントリーポイントを探す
それでも、右端の最後の部分はうまくいきません。このようにセオリー通りでも、100%うまくいくことがないのがFXです。技術と経験を積み上げながら覚えていきましょう。
図表2を見てください。ちなみに、このようにうまく21SMAの近くで買いエントリーできず、もっと上がるだろうと期待して、上がっている最中(左の図の太い矢印付近)で買ってしまうと、その後下げる動きが起こります。つまり高値買いです。
波の頂点で買ってしまうと、一度底を打って上がってくるのを待たなくてはなりません。その底打ちの目安になりやすいのが21SMA付近となるわけです(図表2のA〜D)。
トレンドの終わりに備えて「損切り注文」を出しておく
21SMAに沿ったトレンドでもEのように必ず終わりが来ます。永久に続くトレンドはあり得ないので、最後は仕方がありません。全ての取引がうまくいくことはなく、必ず損する取引になることがある、というのはこうした相場の動きから避けようがないことだからです。
だから、いつかわからないトレンドの終わりに備えて損切り注文をしておきます。損切りについては、この先の連載で説明しますね。
損切り注文をしておかないと、Eのように下がる動きに転じた場合、下落トレンドなのに買っている逆張りになってしまいます。損失額が大きくなってくると損切りすることが怖くなり、さらに損失が拡大します。
こうして多くの初心者がFXから退場することになるのです。こうした事態を避けるためにも、損切りは利益を得るための経費として必ず設定しなくてはなりません。
このエントリー・タイミングを完璧にすることはプロでも難しいものです。トレンド相場なら多少のエントリーのミスはトレンド相場が助けてくれます。しかしタイミングが悪いとトレンド相場であってもすぐに利益にならずにマイナス評価の時間が長くなります。
このマイナス評価が拡大していくと、誰でも不安になります。これは精神衛生上よくありませんね。そうしたポジションが苦しいとき心を支えてくれるのは、これまでの取引データです。
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マイナス評価
FXでは決済されたときにはじめて利益、もしくは損が確定するため、いまいくら儲けて・損しているかは計算上の損益としてでしか確認することができません。その際に「マイナス評価・プラス評価」というかたちで計算されるのです。評価額は口座の取引情報で確認できます。
イラスト:伊藤ハムスター