(※写真はイメージです/PIXTA)

早稲田大学名誉教授・浅川基男氏の著書『日本のものづくりはもう勝てないのか!?』より一部を抜粋・再編集し、日本のものづくりのため「人材にどう向き合うべきか」見ていきます。

大卒初任給、米国は年額「平均632万円」という事実

さらに、新卒一括採用から通年採用への変換である。

 

通年採用とは、企業が年間を通じて新卒・中途を問わず、自由なスケジュールで行う採用活動であり、その対極にあるのが、日本で主流の「新卒一括採用」である。企業が同じタイミングで横並びに新卒採用情報を解禁し、卒業した4月に一斉入社する方式である。横並び・協調性の権化とも言っていい。

 

4月入学に加え、9月も含んだハイブリッドの入学も選択肢の一つである。

 

日本では、芝居や演奏会で感動するほどでない演技演奏でも、必ず「みんな一緒」のアンコールの拍手をする。みんな一緒の感動などめったにはない。満足する演奏でなかったら、それなりの意思表示があっていい。

 

そして最後の仕上げは、新年功序列からジョブ型への移行である。世界では、責任や役割で報酬を変える「ジョブ型」が一般的である。

 

日本の初任給に相当する大卒入社1年目の基本給(年額)を各国で比較すると、米国が平均632万円、ドイツで534万円、日本の262万円を大きく上回っている。終身雇用が前提の日本はスタート地点の初任給が抑制されている。

 

世界との競合にある今、給与システムの見直しは時間の問題である。SONYでもGAFAを意識して初新卒で200万円近い年収差になっている。

 

東大卒業後は、霞が関の官庁や大企業に行くのが常識となっていたが、「優秀な個人ほど起業する」のが今の東大をはじめとした主要大学の常識になりつつある。

 

優秀な人材にとって「出る杭」を活かし切れない旧来型の大組織は、魅力を失っている。自ら考え、起業し、真っ向勝負を挑んでいる若者らに、大いに期待したい。

 

 

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浅川 基男


1943年9月 東京生まれ
1962年3月 都立小石川高校卒業
1968年3月 早稲田大学理工学研究科機械工学専攻修了
1968年4月 住友金属工業株式会社入社
1980年5月 工学博士
1981年5月 大河内記念技術賞
1996年4月 早稲田大学理工学部機械工学科教授
2000年4月 慶應義塾大学機械工学科非常勤講師
2002年4月 米国リーハイ大学・独アーヘン工科大学訪問研究員
2003年5月 日本塑性加工学会 フェロー
2004年5月 日本機械学会 フェロー
2014年3月 早稲田大学退職、名誉教授
著書:基礎機械材料(コロナ社)ほか

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『日本のものづくりはもう勝てないのか!?』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。
※「障害」を医学用語としてとらえ、漢字表記としています。

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