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厚生年金の受給資格を持つ人が死亡すると、遺族はどれだけお金が受け取れるのでしょうか? 必要な手続きや請求の期限もあわせてチェックしていきましょう。

年金受給対象者が死亡した場合、どうする?

親や配偶者といった家族が死亡した場合、さまざまな手続きが必要です。中でも厚生年金受給対象者が死亡したときには、どうすればよいのでしょうか?

 

受給中に亡くなった場合

年金を受給中に亡くなった場合、まず行うのは『年金受給権者死亡届』の提出です。受給者が死亡すると、年金を受け取る権利が喪失します。厚生年金は10日以内の手続きが必要です。

 

年金証書・死亡診断書などと一緒に、年金事務所か年金相談センターへ提出します。ただし亡くなった人が生前に、日本年金機構へマイナンバーを届け出ている場合には、年金受給権者死亡届の提出を省略することが可能です。

 

受給前に亡くなった場合

受給前に加入者が死亡した場合、死亡届の提出を遺族が行う必要はありません。加入者が働いていた企業が年金事務所へ『健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届』を提出します。

 

ただし条件に当てはまると、遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金などを受け取れる可能性があるため、その手続きは別途必要です。給付内容や請求先は、年金の加入状況や、加入者と遺族との関係により異なります。ケースによっては複雑なこともあるため、まずは管轄の年金事務所へ問い合わせましょう。

遺族が受け取れるお金は?

条件に当てはまっており、期限内に適切に手続きをすれば、遺族はさまざまな給付を受けられます。具体的な給付の種類を見ていきましょう。

 

受け取っていない年金「未支給年金」

加入者が生前に受け取れていない『未支給年金』がある場合、亡くなった月までの分を請求できます。請求できる遺族は、死亡した受給権者と同一生計の3親等内の親族です。この条件に当てはまる人であれば、亡くなった加入者ではなく、自分の権利として請求できます。請求先は年金事務所や年金相談センターです。

 

『未支給年金請求書』に亡くなった受給権者の基礎年金番号・年金コード・生年月日・死亡年月日などを記載します。加えて続柄が分かる書類と、生計が同じであったことを証明できる書類を提出し請求しましょう。

 

独身、子どもの有無は不問「遺族厚生年金」

『遺族厚生年金』は独身でも子どもがいなくても、厚生年金の保険料を支払っていれば対象となります。受給できる対象者は「亡くなった者によって生計を維持されていた配偶者、子ども、父母、孫、祖父母」です。基本的には上記の優先順位で遺族厚生年金が受給できますが、配偶者については年齢や子どもの有無によって順位が変わることを覚えておきましょう。

 

亡くなった加入者が独身の場合、親が55歳以上であれば遺族厚生年金を受給できます。ただし実際に支給が始まるのは60歳を迎えてから、という点に注意しましょう。

 

企業型DCやiDeCoに加入していた場合

確定拠出年金である『企業型DC』や『iDeCo』へも加入していると、遺族は口座残高相当額を死亡一時金として受け取れます。請求できるのは、加入者が生前に家族や兄弟姉妹の中から指定した人です。

 

特に指定されていないときは、法令で定められているルールにのっとり受取人が決まります。ただし、民法の相続順位とは異なるため、注意が必要です。また、死亡一時金として口座残高相当額を受け取るには、加入者の死亡から5年以内に請求しなければいけません。

次ページ遺族厚生年金と併せて受け取れるお金

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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