(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資は、家賃などの収入に加えて、税金の面でもさまざまなメリットを享受できる一方、経費計上の境界線など、注意すべき点もいくつかあると、多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士はいいます。不動産投資、特に中古アパート一棟投資の具体的なメリット、デメリットについて、詳しくみていきましょう。

要注意…なかには「経費」として計上されないケースも

賃貸物件で赤字を出した場合、すべて認められるかというと、そうではありません。

 

たとえば、空き部屋を子供に無償で貸した場合はどうでしょうか?

 

結論としては、その部屋に係る修繕費をはじめ、かかった費用は経費として認められず、その赤字は損益通算もできません。

 

なぜなら、所有物件の空き部屋を子供に無償で貸した場合、「自家用」とみなされるからです。

不動産が「相続対策」に適しているワケ

では、不動産投資が「相続対策に適している」とよくいわれるのは何故でしょうか?

 

その理由は、相続税の評価方法にあります。たとえば1億円を現金で相続した場合、相続税の課税対象額は1億円となりますが、不動産投資により土地を取得しておいた場合、相続税評価額は路線価により評価されます。この路線価の評価額は時価のおおむね8割程度といわれています。つまり、1億円の土地を購入した場合、相続税評価額は8,000万円程度となり、2,000万円ほど相続税評価額が圧縮されます。

 

建物についてはもっと節税効果が大きく、建物の構造等にもよりますが、1億円の建物を購入した場合、おおむね購入価額の5~7割程度、つまり5,000万円から7,000万円程度の相続税評価額となります。この評価額の圧縮額が相続税対策となります。

 

そのようななか、相続税対策として有効だといわれているのが、中古一棟アパートです。

 

耐用年数が中古の木造は22年、軽量鉄骨造りの場合耐用年数27年となっていますが、この耐用年数を超えた物件を購入した場合、税法上木造の場合は耐用年数を4年、軽量鉄骨造りの場合5年で減価償却することが可能となります。短期間で建物の減価償却費を大きく計上することが出来るため、節税に有利とされています。

 

そのほか、中古一棟アパートのメリットとしては、新築物件に比べ利回りが高い、すでに入居者がいる状態で購入できる、賃料が安定しているなどがメリットといわれています。

 

一方、デメリットとして経年劣化による修繕費リスクなどもあることも知っておいてください。

 

上記で述べたように、不動産投資、特に中古アパート一棟投資は、損益通算による所得税・住民税の圧縮効果、相続税対策における相続税評価額の圧縮効果などがあり、税金対策としては非常に有効な手段であると思います。

 

相続税の基礎控除の改正が平成27年から従来の6割に圧縮されたことにより、相続税の対象者が倍増することとなりました。特に都心近くに不動産を所有している場合に顕著となり、相続税対策として不動産投資が適していると盛んにいわれるようになりました。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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