「ラクに働きたい」と毎日図書館をフラフラ
■本当にやりたいことは? 自問自答で気づいた本音
その後は愛知の実家に戻り、体を休めつつ、どうやって生計を立てていこうかと思案しました。
図書館や本屋さんで毎日、資格や職業に関する本を漁る日々。
「ラクそうだから、給料がよさそうだから…」という基準でいくつかの職業をピックアップして資格勉強を始めるも、ちっとも勉強に身が入りません。
それもそのはず。ラクそうだから、給料がよさそうだからとかいう理由だけで行動しても、モチベーションが保てるわけがありません。(そしてラクそうなんて決めつけた職業の方にも失礼な話ですよね…。)
辞めた会社だって、就活に落ちまくって「入れてくれるならどこでもいい」なんて理由でエントリーしました。ただ流されるまま、自分自身でモチベーションを保てない環境を作り出していたのです。
そこではじめて「自分の本当にやりたいこと」を考えてみました。
でもフラフラ、薄っぺらく、流れるままに生きてきた僕には、具体的な職業が思い浮びませんでした。
けれど、自分のスキルで喜ばれる仕事、自分のペースで働けて、対人関係に悩むことがない、そして、場所や時間を選ばない仕事がしたいという気持ちが芽生えたのです。
今思えば、それはまさに「起業する」「フリーランス」という働き方が思い浮かぶと思います。ただ当時は、今のようにメジャーな選択肢ではありませんでした。僕は自分が思い浮かべた理想を実現できる働き方を、ネットや図書館でひたすら検索して、時間を消費していました。
■ネット物販に出会い明るい未来が見えたけれど……
そんなある日、フェイスブックで「個人輸入ビジネスで月収100万円を稼いでいる」という投稿を見つけました。「時間にも場所にも左右されずに稼げる」というのを見て、これだ! と思った僕は、直感的にコンサルタントから手法を学ぶことに。
でもなかなかうまくいきません。お金がどんどん飛んでいくだけ。当時は実家住みだったから、家族にも怪しまれていました。そりゃそうですよね。心を病んで実家に戻ってきた息子宛に、海外からわけのわからない段ボールがバンバン届いたら、不審に思います(笑)。
白い目で見られながらも、肩身の狭い思いをしながら続けていくと、当時トレンドだったスマートウォッチやカメラ三脚などの物販で売上が月300万円を越すようになったのです。
ところが、ネット物販ビジネスも、ライバルがどんどん参入してきてしまい、徐々に利益が上がらなくなっていきました。
あらゆる物販ビジネスや輸入ビジネスを試してみるものの、どれも最初は好調でも徐々に雲行きが怪しくなるばかり。
そうこうしているうちにお金が回らなくなって、借金が膨らんでいきました。最高時には500万円にも達してしまったのです。
仕入れをしなければ利益が出ない。利益が出ないとクレカの支払いができない…。もう毎日、支払いのことで頭がいっぱい。夜も眠れない日々が続きました。
物販ビジネスの流行り廃りとイタチごっこ状態になりながら、毎月300万~400万円の利益まで回復できたものの、やはりクレカ支払いへの恐怖は消えません。
物販ビジネスは利益を出すために仕入れが必要です。月100万円以上を稼ごうと思ったら、最低でも700万円の在庫が必要です。大量の在庫を抱えれば利益をスケールさせられるけれど、不良在庫になったり、アカウント停止となったり…。どれだけ稼いでも仕入れ費用をペイできる保証はどこにもないのです。
僕の理想でもある、場所も時間も選ばず、人間関係に左右されない働き方でしたが、「この仕事でいつまで生計を立てていけるのかな…?」と、不安ばかりが募っていました。
中村 誠
株式会社REXLI 代表取締役 社長