今回は、新住宅法の発布が不動産投資の分野に与える影響を見ていきます。※本連載は、I‐GLOCALグループ代表・蕪木優典氏と、弁護士・工藤拓人氏、實原享之氏、グェン・チュン・チャン氏による共著書籍、『これからのベトナムビジネス』(東方通信社)の中から一部を抜粋し、ベトナムの不動産市場の現状と最新のトレンドを紹介します。

新住宅法によって「一回の入国」で不動産購入が可能に

物件購入に際してはいろいろと注意すべきこともある。まず法務面について触れておきたい。

 

ベトナムはあくまで社会主義国だということ、そして規制緩和から間もないことなどを認識しておく必要がある。そもそも6月30日までがどうだったかというと、外国企業・個人が住宅所有できる旨については定めがあったものの、どういう場合かということについては実は不明確だった。

 

条件としては、たとえばベトナム人と結婚している人といった具合にかなり限定されていたのだ。それが7月1日以降、新住宅法では以下の者に所有が認められるようになった。

 

①建築投資ができる外国企業・個人が持つ場合

②企業や支店、駐在員事務所などがベトナムの組織であり、ベトナムに住所がある場合

③ベトナムへの入国ができる外国個人

 

③について、これはどういうことかというと、現時点では「入国ができる個人」であればいい、ということだ。つまりビザを持っているか、日本人のような一方的なビザ免除がある国に関しては、一回入国できたというスタンプがあればいいというわけだ。

 

したがって、不動産会社に物件購入の申し込みをすると、パスポートのコピーをくれといわれ、ビザを提示するか、直近で入国したときのスタンプの頁をPDFで送付したりすればいいということになる。

「企業による賃貸ビジネス」は禁止されている点に注意

規制緩和によってそのほかどのようなことが可能になるのかというと、外国企業・個人による住居目的または賃貸目的の購入などがあげられる。

 

だが住宅の賃借については、外国人個人については可能だが、企業については当該組織のためにのみ使用できるものと限定されていて、賃貸は禁止されている。つまり個人であれば誰に貸してもいいのだが、企業の場合は社宅としてしか利用できないということだ。そのため、企業のオーナーが物件を個人で購入し、現地会社に貸し付けるという形が多くとられているように思う。

 

あまりに投機的な売買を避けるための規制はいくつか残されている。たとえば、購入賃借はひとつの建物内で30%を超えてはならないとか、別荘などを含む個別住宅については一つの地域で250件を超えてはならないといった具合にだ。中国人などが爆買いしてきたときにそれを制約する目的だと思われる。

 

また、個人の場合の所有期限は証明書の発行から50年とあるが、需要があれば一回だけ期限を延長することができる。

これからのベトナムビジネス

これからのベトナムビジネス

蕪木 優典・工藤 拓人・實原 享之・チャン・グェン・チュン

東方通信社

ベトナムはドイモイ政策、世界貿易機関(WTO)への加盟を経て、着実に経済成長を遂げ、今後はTPPへの加盟でますます成長するといわれています。現にピーターソン国際経済研究所の調査では、ベトナムの主要輸出品である衣料品の…

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