(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

インド株は過去最高値圏に上昇

■インド株の堅調さが際立っています。今年に入り、グローバルにインフレが加速し、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとする世界の中央銀行が利上げを相次いで行ったため、世界の株式市場は大きく調整しました。MSCI全世界株指数は、6月に一時20%を超える下落幅となりました。その後反発しましたが、8月のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長発言により米金融引き締めが長期化する見通しが強まり急反落するなど、値動きの荒い展開となっています。こうしたなか、インド株は過去最高値に迫る堅調な展開となっています。

 

(注1)データは2021年1月1日~2022年9月14日。2021年1月1日=100。 (注2)MSCI全世界株指数は現地通貨ベース。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
インド株指数と世界株指数 (注1)データは2021年1月1日~2022年9月14日。2021年1月1日=100。
(注2)MSCI全世界株指数は現地通貨ベース。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

■年初来のリターンは、MSCI全世界株指数の▲15.9%に対し、インドの代表的な株価指数のSENSEX指数は+3.6%と上昇しています(9月14日時点)。

相対的に堅調なインド経済

■インド株が堅調な背景には、相対的に高い経済成長への期待があるとみられます。FRBの金融引き締め長期化で世界経済の減速懸念が強まるなかでも、インドの相対的な高成長は続くとの見方から資金が流入している模様です。

 

■インドの8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は55.6と底堅く推移しているのに対し、グローバルPMIは緩やかながら低下基調にあります。こうした景況感の差も株価のパフォーマンスにつながっているとみられます。

(注)データは2021年1月~2022年8月。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
製造業PMI (注)データは2021年1月~2022年8月。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

<経済正常化でインドの消費は回復>

■インドの4-6月期実質GDPは前年同期比+13.5%と、7四半期連続のプラスになりました。民間消費が同+26%と、加速したことが主因です。

 

■インドではオミクロン型の新規感染者が1月下旬に1日34万人まで増え、行動制限措置が導入されましたが、その後感染者数が急減し、経済活動が正常化したことにより消費が回復しています。

 

■新型コロナウイルスの影響による、人々の移動の変化を計測する「Google Mobility(小売・娯楽)」をみると、感染者数の落ち着きとともに改善傾向が続き、コロナ禍以前の水準を回復しています。

 

(注1)データは2021年1月1日~2022年8月31日。7日平均。 (注2)Google Mobilityは小売・娯楽分野で逆目盛。 (出所)CEICのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
新規感染者数とGoogle Mobility (注1)データは2021年1月1日~2022年8月31日。7日平均。
(注2)Google Mobilityは小売・娯楽分野で逆目盛。
(出所)CEICのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

■また、インドの消費者信頼感指数も改善傾向が続いています。消費者センチメントの改善は、コロナ禍からの回復によるリベンジ消費の流れを促進すると考えられます。経済正常化に伴い、消費にけん引され、循環的な景気回復は続くとみています。

 

(注)データは2021年1月~2022年7月。 (出所)CEICのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
インドの消費者信頼感指数 (注)データは2021年1月~2022年7月。
(出所)CEICのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

人口ボーナス期は長期的にインド株に追い風

■国連は7月、2023年にインドの人口が中国を上回り、世界最多になるとの人口推計を発表しました。中国とインドは2022年にそれぞれ14億人以上の人口を抱えていますが、インドは2050年に16億人を超える一方、中国は13億人に減少する予測となっています。インドは生産年齢人口の拡大する「人口ボーナス期」を迎えていることを示しています。

 

(注)データは1990年~2050年。 (出所)国連のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
国連の人口推計 (注)データは1990年~2050年。
(出所)国連のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

■経済活動の正常化に伴いインドの景気は消費の持ち直しを中心に回復過程にあり、世界的な景気減速のなかでも相対的な高成長が見込まれます。さらに、来年以降は人口が世界一となり、生産年齢人口の増加で長期的に経済成長が促進されることが期待されるため、今後もインド株は堅調さを維持するとみています。

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『世界の株式が調整するなか、最高値をうかがう「インド株」…今後の展開は?【専門家が解説】』を参照)。

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

 

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