(※画像はイメージです/PIXTA)

国税庁は、2022年8月1日、サラリーマンの副業収入が300万円以下の場合は、原則として給与所得との損益通算を認めない方針を打ち出しました。これにより、サラリーマンにとって大きな額を節税できる方法は、事実上、不動産投資くらいしかなくなる可能性があります。そこで、不動産投資が節税になるしくみと、実行する場合のポイントについて解説します。

消去法で残る節税が「不動産投資」しかない

まず、不動産投資がなぜ、サラリーマンにとっての節税方法として有効なのか、説明します。

 

不動産投資は、所有する不動産を賃貸して賃料収入を得るというものです。賃料収入は所得税法上、不動産所得と扱われます。

 

不動産所得の最大の特徴は、マイナスが出た場合に、他の所得から差し引けることです。これを「損益通算」といいます。

 

損益通算が認められる所得は、10種類ある所得のうち、「不動産所得」「事業所得」「山林所得」と、「譲渡所得」の一部のみです。よく頭文字をとって「富士山上(ふじさんじょう)」といわれることがあります。

 

これらのうち、サラリーマンの場合、「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」でまとまった額のマイナスを作るのは困難です。

 

どういうことかというと、「事業所得」は最高裁の判例によれば「独立性」「営利性・有償性」「反復継続性」といった厳格な要件をみたす必要があります(最判昭和56年4月24日)。

 

しかも、国税庁は2022年8月に「所得税基本通達」の一部改正案を発表し、サラリーマンの副業の収入金額が300万円以下の場合は原則として「事業所得」として認めない方針を打ち出しています。

 

また、「山林所得」「譲渡所得」については、そもそも所得の発生原因自体が特殊であるうえ、まとまった額のマイナスを作り出すことが困難なことがあります。

 

そうなると、サラリーマンにとって有益なのは事実上、不動産所得のみということになってしまうのです。

不動産投資でマイナスを作り出すしくみ

では、不動産所得でどのようにしてマイナスを作り、節税につなげることができるのでしょうか。

 

カギとなるのは「減価償却」というしくみです。

 

減価償却とは、資産の購入代金の額を、複数の年度に分けて必要経費として落としていくことです。不動産投資の場合、建物が減価償却の対象となります。

 

不動産所得は「収入金額-必要経費」の計算式で求められます。

 

したがって、多額の減価償却費を計上することによって必要経費が大きくなれば、マイナスを計上することができます。

 

1年あたりの減価償却費は、償却期間が短いほど大きくなります。したがって、節税を考えるうえで重要なのは、いかに短期間で償却するかです。

 

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