「なぜあなたたちは私たちにするなということをしているのですか?」…世界の国家元首の前で問いかけた12歳の少女

「なぜあなたたちは私たちにするなということをしているのですか?」…世界の国家元首の前で問いかけた12歳の少女
(※写真はイメージです/PIXTA)

1970年に「生命科学」という分野の創出に関与し、早稲田大学、大阪大学で教鞭をとった理学博士の中村桂子氏。生物を知るには構造や機能を解明するだけでなく、その歴史と関係を調べる必要があるとして「生命誌」という新分野を創りました。そして、「歴史的文脈」「文明との相互関係」も見つめ、科学の枠に収まらない知見で生命を広く総合的に論じてきました。科学者である彼女が、年齢を重ねた今こそ正面から向き合える「人間はどういう生き物か」「人として生きるとは」への答えを、著書『老いを愛づる』(中公新書ラクレ)として発表。自身が敬愛する各界の著名人たちの名言を交えつつ、穏やかに語りかける本書から、現代人の明日へのヒントとなり得る言葉を紹介します。

子どもや孫にありがとうと言ってもらえる社会へ

貧困問題や環境問題というと、その解決は私には難しくてどうしようもないことになってしまいます。でも、セヴァン・スズキが言うように、自分が散らかしたゴミを自分で片づけることはできますし、ほかの生きものをむやみに傷つけないのはあたりまえです。お互いを尊重し合ってわかち合うことももちろんできます。

 

グレタさんは少々硬派なので、最近こんな風に言っています。

 

「今でも多くの人がベストを尽くしているが、世の中は複雑だ。必要とされている取り組みが容易でないことはわかっている。(中略)でも人間は、力を合わせ、できると思えばどんなことでもできるはずだ。私は諦めない」

 

その通りです。

 

大人になると、わけ知り顔になって、諦めやすくなるような気がします。大人は子どもたちを思いやって何かをしてやらなければならないと考えますが、実は今私たち大人にとって大事なのは、子どもたちに学ぶことかもしれません。

 

そして、ゴミの片づけをきちんとしながら、どうせできっこないなどと言わずに毎日を暮らし、外に向かっての発信もしていくことが、子どもや孫にありがとうと言ってもらえる暮らしやすい社会づくりにつながるのではないでしょうか。

 

できることをやる。一番小さな決心ですが、これが始まりだという気がします。

 

 

中村 桂子

理学博士

JT生命誌研究館 名誉館長

 

老いを愛づる

老いを愛づる

中村 桂子

中公新書ラクレ

白髪を染めるのをやめてみた。庭掃除もほどほどに。大谷翔平君や藤井聡君にときめく――自然体で暮らせば、年をとるのも悪くない。人間も生きものだから、自然の摂理に素直になろう。ただ気掛かりなのは、環境、感染症、戦争、…

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