(※写真はイメージです/PIXTA)

遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者が亡くなったときに、その人によって生計を維持していた遺族が受けることができる年金である。遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなった人の年金の加入状況などにより、いずれかまたは両方の年金が支給される。では、遺族の生活はそれのみで支えられるのかだろうか。モデルケースで検証していく。

遺族年金=被保険者が亡くなったときに遺族が受給

日本の公的年金は、20歳以上が加入する国民年金、会社員や公務員などが加入する厚生年金、そして公的年金と別に保険料を納め、公的年金に上乗せして給付を行う企業年金等がある。老後、すべての人が老齢基礎年金を、厚生年金に加入していた人は、さらに老齢厚生年金を受け取ることになる。

 

【国民年金の被保険者の分類】

 

1.第1号被保険者

日本に住む20歳以上60歳未満の人のうち、自営業者、学生など、第2号、第3号被保険者とならない人はすべて第1号被保険者となる。

 

2.第2号被保険者

70歳未満の会社員、公務員や私立学校の教職員

 

3.第3号被保険者

厚生年金の被保険者(第2号被保険者)に扶養されている(年収が130万円未満、かつ、配偶者の年収の2分の1未満)20歳以上60歳未満の配偶者


被保険者が亡くなった場合、遺族は「遺族年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金)」を受け取ることができる。


遺族基礎年金は、亡くなった人に生活を支えられていた子どものいる配偶者、または子どもが受け取れる。子どもは未婚かつ高校卒業まで、または20歳未満で一定の障害者であることが条件である。

 

【遺族基礎年金の年金額(令和4年4月分から)】

 

子のある配偶者が受け取るとき

777,800円+子の加算額

 

子が受け取るとき(次の金額を子の数で割った額が、1人あたりの額)

777,800円+2人目以降の子の加算額

1人目および2人目の子の加算額 各223,800円

3人目以降の子の加算額 各74,600円

 

※ 日本年金機構:遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)

 

遺族厚生年金は、第2号被保険者が亡くなった場合、亡くなった人に生活を支えられていた子どものいる妻/子どものいる55歳以上の夫、またはその子どもが対象になるほか、子どものいない妻/子どものいない55歳以上の夫、55歳以上の父母なども受給対象である。


受け取れる年金額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4[(A*1+B*2)×3/4]。


*1 A:平成15年3月以前の加入期間

平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月以前の加入期間の月数

*2 B:平成15年4月以降の加入期間

平均標準報酬月額×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入期間の月数
 

夫が40歳で逝去した場合のモデルケース

遺族の生活を支える遺族年金だが、具体的にはどの程度の金額なのか。厚生労働省『厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、遺族基礎年金の給付数は9万人、平均年金額は8万4,173万円。遺族厚生年金の給付数は567万人、平均年金額は8万2,947円だ。

 

平均では8万円程度だが、実際にどれくらいの遺族年金が支給されるのか、モデルケースから計算してみよう。

 

夫:享年40歳(厚生年金加入期間200ヵ月)、大卒、月収44万円

妻:38歳、専業主婦

長男:8歳

長女:5歳

 

【妻が48歳まで】

「遺族基礎年金:約78万円」+「子ども2人の加算額:約45万円」+「遺族厚生年金:約48万円」

1年で171万円、1ヵ月で14万円程度

 

【妻が51歳まで】

「遺族基礎年金:約78万円」+「子ども1人の加算額:約22万円」+「遺族厚生年金:約48万円」

1年で148万円、1ヵ月で12万円程度

 

【妻が65歳まで】

「遺族厚生年金:約48万円」+「中高齢寡婦加算:約58万円」

1年で106万円、1ヵ月で9万円程度


【妻が65歳以上】

「老齢基礎年金:約78万円」+「遺族厚生年金:約48万円」

1年で117万円、1ヵ月で9万7,500円程度

 

2人の子どもを抱え、月の生活費が12万〜14万円では、かなり心もとないのではないだろうか。安心して日々を過ごすには、不測の事態に備えて民間の保険への加入のほか、配偶者自身も就労するなどの対策が不可欠だ。

 

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