2022年4~6月期法人企業統計・設備投資などについて (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+3.5%、1.5ポイント増加率鈍化

 

実質GDP第2次速報値前期比年率+2.5%程度に、民間在庫変動が上方修正か

 

 

22年4~6月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+3.5%と、1~3月期の前年同期比+5.0%から1.5ポイント伸び率が鈍化したものの、5四半期連続の増加になった。1~3月期で前年同期比+5.9%の増加だった製造業は、4~6月期では同+11.9%の増加へと6.0ポイント伸びを高めた。非製造業は1~3月期で前年同期比+4.6%の増加だったが、4~6月期では同▲0.9%の減少と5.5ポイント伸び率が悪化した。

 

4~6月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は+2.1%と3四半期連続の増加になった。製造業は+6.3%と3四半期連続の増加になった。一方、非製造業は▲0.2%と2四半期連続の減少になった。

 

なお、法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は4~6月期+3.9%と2四半期ぶりの増加になった。製造業は+7.6%と3四半期連続の増加、非製造業は+1.9%と2四半期ぶりの増加になった。

 

法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)で4~6月期の全産業の前年同期比は+4.6%で1~3月期の+3.0%と比べ1.6ポイント伸び率が改善した。資本金別の内訳をみるとまちまちで、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は+1.2%の増加と、1~3月期の▲0.8%の減少から2.0ポイント改善した。また、資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+33.1%の増加と、1~3月期の+11.4%の増加から21.7ポイント改善した。一方、資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は▲5.7%の減少と、1~3月期の前年同期比+6.1%からは11.8ポイント悪化した。

 

供給サイドのデータに基づいて算出した4~6月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は+3.4%と5四半期連続の増加になった。1~3月期の+2.3%の増加から1.1ポイントと改善した。一方、法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は1~3月期から4~6月期にかけ1.5ポイント鈍化した。両者の変化幅の乖離は2.6ポイントだ。

 

4~6月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、4~6月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は▲12.1%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は▲32.1%であると公表されているが、4~6月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は▲30.8%となり、仮置き値より1.3ポイント小さい減少率になった。

 

4~6月期GDP第2次速報値の設備投資では、ソフトウエア投資の部分は特定サービス産業動態統計6月分からみてやや下方修正要因になるとみた。また、法人企業統計の単純な名目値の前年同期比の変化は下方修正要因である。一方、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は上方修正要因に、断層補正の影響はやや増加要因になるとみた。今回の改定要因の解釈はまちまちで、総合的に判断し、第2次速報値の名目設備投資は前期比+2.7%程度と第1次速報値と同程度になるとみた。第2次速報値の実質設備投資は前期比+1.4%程度と、第1次速報値の同程度で大きな変化はないとみた。

 

(民間在庫変動)

法人企業統計の仕掛品在庫をみると22年4~6月期は3兆1,404億円で21年4~6月期の3,941億円から2兆7,462億円の増加となった。また、原材料・貯蔵品在庫は22年4~6月期は2兆6,123億円で21年4~6月期の1兆1,153億円から1兆4,970億円の増加となった。合わせて4兆2,432億円、前年同期に比べ増加した。

 

一方、22年4~6月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は1兆1,524億円で21年4~6月期の1兆111億円からは1,413億円の増加であった。22年4~6月期GDP第1次速報値ではGDPの第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.1%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目中プラス寄与は3項目で、大きな方から流通在庫、製品在庫、原材料在庫の順になっている。仕掛品在庫だけがマイナス寄与であるということだ。

 

今回の法人企業統計からみると、GDP第2次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は仮置き値がマイナスだった仕掛品在庫を中心に増加するとみられ、第1次速報値の+0.1%から+0.2%程度に上方修正されるとみた。

 

(22年4~6月期GDP・第2次速報値予測)

9月8日に発表される22年4~6月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動、公共投資などを中心に改定される。

 

22年1~3月期第2次速報値では、実質設備投資は前期比+1.4%程度と、第1次速報値の同+1.4%と同程度になると予測した。一方、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は上方修正され、第1次速報値の▲0.4%から▲0.3%程度になるとみた。

 

また、公共工事出来高の前年比は4~5月分平均が▲6.9%だったが、4~6月期の前年同期比は▲5.9%と減少率が縮小した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は第1次速報値の+0.9%から+1.3%程度に上方修正されると予測する。

 

22年4~6月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+0.6%、前期比年率+2.5%を予測する。第1次速報値の前期比+0.5%、前期比年率+2.2%から上方修正となろう。民間在庫変動などが上方修正要因になるとみた。

 

 

(2022年9月1日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年4~6月期法人企業統計・設備投資などについて』を参照)。

 

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

    旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
    パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
    著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

    著者紹介

    連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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