テクニカル分析で考える「ドル高・円安トレンド」の持続性~8月12日以降の動き【ストラテジストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●ドル円の一目均衡表は、8月11日時点で非常に強いドル売りシグナルの「三役逆転」に近づいた。

●ただその後は雲の下限である先行スパン2にしっかり支えられ、ドル高・円安方向へ切り返す展開に。

●一目均衡表は「三役好転」が完成、非常に強いドル買いシグナルで、140円超えに違和感はない。

ドル円の一目均衡表は、8月11日時点で非常に強いドル売りシグナルの「三役逆転」に近づいた

8月12日付レポート「テクニカル分析で考えるドル高・円安トレンドの持続性」では、トレンド系チャートの代表格である「一目均衡表」に注目し、年初からのドル高・円安のトレンドについて、その持続性を考えました。一目均衡表は、「転換線」、「基準線」、「先行スパン1」、「先行スパン2」、「遅行線」という5つの線で構成され、これら5つの線と日足の位置関係でトレンドを分析します。

 

例えば、①転換線が基準線を下抜けている、②遅行線が日足を下抜けている、③日足が雲(先行スパン1と先行スパン2に挟まれた領域)を下抜けている、という3つの条件がそろうと、「三役逆転」という、非常に強い売りシグナルと解釈されます。8月12日付レポートの一目均衡表(8月11日時点、図表1)では、転換線が基準線を下抜け、遅行線が日足を下抜けており、三役逆転のうち、2つの条件がそろっていました。

 

(注)データは2022年6月10日から8月11日。先行スパン1と先行スパン2は9月15日まで。先行スパン1と2で囲まれた部分を雲という。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]ドル円の一目均衡表(8月11日時点) (注)データは2022年6月10日から8月11日。先行スパン1と先行スパン2は9月15日まで。
   先行スパン1と2で囲まれた部分を雲という。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

ただその後は雲の下限である先行スパン2にしっかり支えられ、ドル高・円安方向へ切り返す展開に

そのため、当時は、ドル円が雲の下限である先行スパン2を大きく下抜けると、年初からのドル高・円安トレンドは、いったん終了となる可能性を指摘しました。一方で、ドル円が先行スパン2に支えられ、大きくドル高・円安方向に切り返せば、前述の①から③がすべて上抜ける「三役好転」となり、年初からのドル高・円安トレンドが継続することも考えられると説明しました。

 

先行スパン2の具体的な水準は、8月12日が131円68銭、15日と16日が132円05銭、17日が132円11銭で、18日から9月7日まで132円88銭でした。各日において、ドル円のニューヨーク市場終値が、先行スパン2を大きく下回れば、ドル高・円安トレンドは終了となったのですが、結局、ドル円は先行スパン2がサポートとなり、ドル高・円安方向へ切り返しました(図表2)。

 

(注)データは2022年6月10日から8月31日。先行スパン1と先行スパン2は10月5日まで。先行スパン1と2で囲まれた部分を雲という。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]ドル円の一目均衡表(8月31日時点) (注)データは2022年6月10日から8月31日。先行スパン1と先行スパン2は10月5日まで。
   先行スパン1と2で囲まれた部分を雲という。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

一目均衡表は「三役好転」が完成、非常に強いドル買いシグナルで、140円超えに違和感はない

現在、一目均衡表は「三役好転」が完成しており、非常に強いドル買いシグナルを発しています。そのため、テクニカル分析上、この先1ドル=140円を超えてドル高・円安が進行しても、違和感はありません。なお、前回140円をつけたのは、1998年8月31日ですが、ここからドル高・円安の方向については、同年8月11日につけた147円66銭水準まで、節目らしい節目がありません。

 

1998年は、ロシア危機や米大手ヘッジファンドの破綻を主因に、夏場以降、大幅なドル安・円高が進行し、1日の値幅は拡大しました。参考までに、140円をつけた1998年8月31日のドル高値は142円46銭水準、安値は138円83銭水準でした。当面、ドル高・円安基調は続くと思われますが、一目均衡表の雲は9月中旬以降、非常に細くなっており、ドル安・円高に振れた場合、8月中旬のようなサポートは期待しにくく、やや注意が必要です。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『テクニカル分析で考える「ドル高・円安トレンド」の持続性~8月12日以降の動き【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

    旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
    現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
    著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
    CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

    著者紹介

    三井住友DSアセットマネジメントは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

    著者紹介

    連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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