インフレ抑制には「景気後退」しかない…FRBの覚悟
FRBは「景気後退でしか、インフレも株価も抑制できない」と覚悟を決めた
6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、2ヵ月間にわたり、株価の上昇が続いてきました。FRBにとってみると、「株価の戻りは邪魔者でしかなかった」でしょう。
株価の上昇はインフレの抑制を阻んでしまいます。
実際、セントルイス連銀が算出する「金融ストレス指数」は、大幅な利上げにも関わらず、過去最低水準にまで達しており、「金融市場はストレス・フリーの状態でした」。S&P500の株価収益率も「性懲りもなく」戻っていました。
それもそのはずで、実質政策金利(=政策金利マイナスインフレ率)はまだまだ大幅なマイナスであり、金融環境は緩和的です(→それゆえ、短期の景気後退よりも、長期のインフレが心配です)。
加えて、FRBのバランスシートもほとんど減っておらず、誰もが心配するQT(量的引き締め)はこれからです。
FRBは、過去2ヵ月あまりの戻りをみて、「もはや、景気後退を起こすしか、インフレも株価も抑制できない」と覚悟を決めていると筆者はみています。「中途半端なことでは、株価の戻りがインフレ抑制を遠ざけてしまいます」。
今後のマーケットのテーマ・局面に関する見通し
「当たらない予測」を披露させていただくと、今後は、
→「②景気後退」
→「③景気回復・拡大(インフレの時代)」
といったふうに、テーマと局面が変遷していくのではないかと考えています。
リスク資産のなかでの優劣を考えると、「①引き締め再織り込み相場」は、金利上昇ですから、米国成長株式が相対的にアンダーパフォームしがちな局面です。
その後の「②景気後退」の局面では、(リスク資産のなかでは)下値抵抗力のある米国ハイ・イールド債券がアウトパフォームしがちな局面です。ゼロ金利がみえて、量的金融緩和が織り込まれるころはゴールドもよいでしょう。
その後の「③景気回復・拡大(インフレの時代)」では、割安株式・コモディティ・リートそして日本株が優位になる可能性があると考えています。
米国成長株式からの分散を進める局面です。
重見 吉徳
フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
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