燃料に5億米ドル、肥料等の輸入品に1兆米ドルの与信限度額
「2022年、インドはスリランカに約40億米ドルの融資を行ってきました」
ゴパール・バグリー高等弁務官は、インドからの与信限度額によって資金調達された肥料の第二次委託がコロンボ(スリランカの最大都市であり、旧首都)に到着した際、記者団に語った。
8月22日に2万1,000トンの肥料がコロンボに到着し、インドの与信限度額によって融資された。インドは現状、すでに4万4,000トンの肥料をスリランカに供給している。
「これはスリランカの人々のためのものであり、農民のためのものです」とバグリー高等弁務官は話す。
インドは、燃料に5億米ドル、肥料を含むその他の輸入品に1兆米ドルの与信限度額を与えている。また、輸入に関する与信限度額は、民間企業によって全額償還された場合、予算支援も可能となる。
さらにインドは、スリランカ中央銀行の利用を認めるアジア決済同盟(インド、イラン、ネパール、バングラデシュ、パキスタン、スリランカの6ヵ国が1974年に設立した多角的決済機関)のもと、輸入代金の支払い期限を2億米ドルから3億米ドル遅らせる処置も講じている。
スリランカは、2年間にわたる紙幣の増刷と、為替投機(中央銀行への強制的なドル売り)の失敗により、中間政権(下層中産階級と富裕な農民層を基盤とする政党で成り立つ政治体制)下における中央銀行の歴史上最悪の通貨危機ともいえる状況に陥った。
これは、1950年8月、ソフト・ペッグ制(固定相場制の一つで、特定の通貨と自国の通貨の為替レートを一定の範囲内に保つ制度を指す)を採用する中央銀行の設立により、スリランカの経済学者たちが為替不足、高インフレ、深刻な経済危機を引き起こす力を手に入れてしまったためである。
為替不足と通貨危機は、ハード・ペッグ制(厳格な固定為替相場制)やクリーン・フロート制(自由変動相場制)にはないソフト・ペッグ制に伴う問題である。
貨幣印刷(主に公開市場操作)によりペッグ制(為替レートを、ある特定の水準に固定もしくは変動を極小幅に限定する制度)の信頼性が失われると、経済活動を超高金利で叩き潰して資金流出を減らし、貨幣印刷を終わらせなければならない。
スリランカはインドからの資金で外為市場に介入しているが、金利が上がり民間の信用が鈍化した後、経済活動は急速に落ち込んでいる。