(※写真はイメージです/PIXTA)

20歳以上60歳未満の国民には、毎月、国民年金保険料を納めることが義務付けられています。経済的な問題から納付が難しい人は、免除や納付猶予を受けることが可能です。本稿ではその猶予制度の一つであり、多くの人々が利用する「学生納付特例制度」について見ていきましょう。本制度にはどんなメリットやデメリットがあるのかを改めて確認しつつ、そのデメリットを解消する方法を解説します。

「追納制度を知らない学生」は8割!?

前述の厚労省『令和2年国民年金被保険者実態調査結果』によると、学生納付特例者のうち、学生納付特例制度の「追納制度」について知っていると回答した学生はわずか19.8%でした。前述の通り学生納付特例制度の周知度は高く、年金への影響を知っている学生も少なくないにもかかわらず、実に8割の学生が追納制度を知らないことになります。

 

一方、追納制度を知っている人々の間では、追納するか否かで大きく意見が分かれています。

 

ただし、総務省『「年金業務の運営に関する行政評価・監視-国民年金業務を中心として-」の結果に基づく勧告に対する改善措置状況(2回目のフォローアップ)の概要』(令和3年5月31日)では、「学生納付特例期間を有する20歳代後半から30歳代前半は追納制度の利用割合が高い」とされています。

 

また、令和元年度に追納勧奨を強化したところ、令和元年度における追納制度の利用者は、平成30年度の16.6万人から1.9万人増え、18.5万人になりました。

 

さらに、「増加要因を分析したところ、2年目及び9年目の層が増加」していたとのこと。この報告から、追納勧奨の強化によって初めて追納制度の存在を知った人々や、追納期限を前にして駆け込みで納めた人々が多くいたのではないかと考えられます。賛否両論はあれど、追納制度の需要は決して少なくないようです。

「失わなくて済むお金」を見過ごすのはもったいない

老後「年金だけ」で暮らせないことは、もはや社会のコンセンサスといっても過言ではありません。自ら資産形成について学び、投資などを実践する人々も増えています。追納するより、その資金を投資に当てたほうがよいと判断する人もいるでしょう。


しかし、「失わなくて済むお金」を見過ごしてしまうのは、やはりもったいないのではないでしょうか。追納勧奨の強化によって学生納付特例から9年度目になる人の追納が増えたことを見ると、いっそうその切実さが感じられます。

 

老後のためには貯蓄や投資も大切ですが、追納制度のような、もっと身近で着実に補える部分から着手することも、大切な老後対策ではないでしょうか。

 

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