再び3%台を付けた米長期金利
■米10年国債利回り(米長期金利)は6月14日に3.48%を付けた後、低下に向かい、8月1日に2.61%まで低下しました。その後は上昇に転じ、8月22日に3.03%と7月20日以来の3%台乗せとなりました。この動きは金融政策の予想の変化を反映したものと考えられますが、金融市場では政策金利をどのように予想しているのか、フェデラルファンド(FF)金利先物市場で確認してみました。
現在は極端に織り込み過ぎた利下げ期待の巻き戻し
■6月14日、15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が行われ、0.75%の利上げが決定されましたが、結果発表前日の14日には、将来にわたる大幅な利上げ懸念が織り込まれました。その後は、利上げによってもたらされる景気後退後の利下げ期待を急速に織り込む展開となり、8月1日には政策金利の予測水準が大幅に低下しました。最近は米連邦準備制度理事会(FRB)高官から、行き過ぎた利下げ期待をけん制する発言が相次いだことなどもあり、利上げに対する懸念が再度高まっています。
バランスの取れたシナリオ志向へ
■8月23日のFF金利先物市場では来年5月のFFレートを3.75%と予測しており、FOMC参加者が見込む23年末の政策金利予想と一致しています。今後のインフレ・景気・金融政策の期待形成がようやく落ち着き始めた印象です。
■今後、ジャクソンホール会議(8月25-27日)やFOMC(9月20-21日)等、米金融政策は年末に向けて重要な局面を迎えます。FRBの金融政策はデータ次第になると見込まれますが、金融市場は一旦両極端な期待形成を経験しただけに、バランスの取れたシナリオを志向するのではないでしょうか。すなわち、FRBは中立金利の2~3%を上回る水準へ利上げを行い、経済をある程度減速、インフレを落ち着かせてから利下げに転じる、というものです。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米政策金利の見通し、先走り過ぎたマーケット…今後の展開は?【専門家が解説】』を参照)。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
投資情報グループ