(※写真はイメージです/PIXTA)

「まだ大丈夫と思いたい。でも、知っておけば準備できる。」高齢者認知症外来・訪問診療を長年行ってきた専門医・近藤靖子氏は、書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』のなかで「高齢者介護の相談窓口」と、介護保険が使えるサービス、入居に適した施設について解説しています。

老人ホームなどの「施設」…おすすめの探し方は?

施設系サービスでは、いろいろな施設があります。サービス付き高齢者向け住宅は、縮めてサ高住と呼ばれますが、安否確認や生活相談サービスができる住宅です。

 

老人保健施設は、在宅復帰を目的とする主にリハビリのための施設で、短期間が基本です。

 

グループホームは、認知症対応に特化された施設です。身体の病気は比較的軽い、認知症高齢者同士が日常生活をともにして、家事や雑用などそれぞれができることを手伝ったりして、生活機能をできるだけ維持することを目標としています。

 

介護付有料老人ホームは、常勤看護師がいてさまざまな医療的なニーズに対応できる施設です。

 

特別養護老人ホーム、略して特養は、連携または常勤の医師と看護師が療養指導を行い、要介護3以上の要介護者が入居できる施設です。

 

費用の点では、特養の多人数部屋がいちばん安く、従って人気がありますが、要介護3以上という制限もありなかなかすぐには入居できません。最近は特養でも個室の施設が増え、費用も高くなってきたようです。

 

介護付有料老人ホームは入居金や費用の高いところが多いですが、看護師が常勤しているので、胃ろうや膀胱(ぼうこう)留置カテーテル、人工呼吸器のケアができたり、医師の指示で点滴や褥瘡のケアをするなど、医療的なニーズの高い入居者に対応できることが特徴です。ただし、施設によってはこれらの医療的なケアができない場合もあるので、確認が必要です。

 

ご自分の家族が入居する施設を決める際には、いくつかの施設の情報を取り寄せたり、見学やお試しの滞在をしたりして、最も適しているところを探すのがおすすめです。

 

一般的には、身体疾患が重くその医療的なケアを優先する場合は常勤看護師がいる介護付有料老人ホーム、身体的には比較的健康で認知症があり人付き合いが好きであればグループホーム、高齢でもしっかりしていてあまり干渉されたくなければサ高住、などといった具合でしょうか。本人の希望や相性もあるので、それも考慮に入れられれば理想的です。

 

 

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近藤 靖子

和歌山県和歌山市に生まれる。京都大学医学部および同大学院卒。 医療に関しては麻酔科、眼科、内科、神経内科、老年内科の診療に従事。1994年家族と共に渡米し、オハイオ州クリーブランドのクリーブランドクリニックにて医学研究を行う。 その後、ニューヨーク州ニューヨーク市のマウントサイナイ医科大学、テキサス州ヒューストンのMDアンダーソンがんセンターにて医学研究に従事。 2006年末に帰国し、2008年千葉県佐倉市にさくらホームクリニックを夫と共に開院し、主に高齢者医療を行う。

 

 

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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