親の面倒を「看ている子」と「看ていない子」がいる
- 被相続人(予定)・・・父母
- 法定相続人・・・長女、次女、三女(相談者)
- 遺産・・・自宅(2,000万円相当)、銀行預金(1,500万円)
- 遺言・・・なし
- 特記・・・三女は独身。父母と同居し、1人で看護・介護をしてきた
三女からの相談内容
長女と次女が結婚して他県へ出て行ったあと、父が病気がちになり何度も入退院を繰り返し、その度に母と私(三女)で看病をしてきました。その後、今度は母が倒れて緊急手術し、右手と右足に麻痺が残ったために思うように家事ができなくなりました。
私はそれからずっと、病気のため視力が著しく低下してしまった父の世話と、手足の麻痺に加え物忘れがひどくなってきた母の介護をしています。
私は1人で仕事をしながら家事と両親の世話をしているので、結婚する機会を逃し、独身です。姉たちは1年に1、2度、旅行のついでに孫の顔を見せに寄る程度で何も手伝ってくれません。私だけが貧乏くじを引いたような気がします。
この場合、いざ父や母の相続が起こったときに、私はたくさん財産をもらえるのでしょうか?
解説
昨今の日本の平均寿命は男性81歳、女性87歳。一方で健康寿命(自立した生活を送れる期間)は男性72歳、女性75歳といわれています。ということは、不健康な状態で過ごす年数は男性で9年、女性は12年で、その間は介護が必要になるということです。
いま相続で争う理由として、看護・介護問題が絡むことが増えています。事例の相談内容は「複数の相続人のうち1人だけが被相続人の看護・介護をした場合、他の相続人よりも多く遺産をもらうことができるのか」ということです。
確かに、何十年も年老いた両親の介護をしてきたのに、相続できる財産が親の面倒をみなかった他の兄弟姉妹と同じ割合になるのは納得できないでしょう。結論から言うと、介護をした人はその分、遺産を多くもらえる可能性があります。