(※写真はイメージです/PIXTA)

先が見えないロシアのウクライナ侵攻、中国の新型コロナ再拡大による経済的ダメージなど、世界情勢は不穏な状況が続いています。当然、日本の富裕層たちも資産防衛に手を尽くしていますが、いまや国内での資産組み換えや、外貨預金程度で対処するのは不可能です。不測の事態を想定した場合、大切な資産をどこに置くべきか、資産防衛のプロであるウエルスマネージャーが、現状から読み解いていきます。

日本に潜在する「3つのリスク」

日本の内外を取り巻く状況を鑑みて想定意識すべき、代表的な3つのリスク「天災リスク」「地政学リスク」「国家財政破綻リスク(財政赤字リスク)」について記述をしました(『当局から届いた「お尋ね」…海外プライベートバンクに口座保有の富裕層が青ざめた事情』『「財産は国内に放置するな!」日本が本格的に危なくなってきた』参照)。これらについてまず認識することが、資産防衛の対策を練るスタート地点だといえます。

 

こういった日本に潜在するリスクに一切目を向けず、いまの生活を刹那的にエンジョイするという選択肢も、悪くはないかもしれません。

 

しかし2011年の東日本大震災当時、首都圏に住んでいた読者なら、本震・繰り返される余震の恐怖、生活インフラ、公共交通機関の停止という非日常、福島原発事故に対処する政府の混乱ぶり等々から、言葉にできない焦燥感・無力感を味わった経験は、忘れられないのではないでしょうか。

 

@pixabay
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いまや国や政府を頼りにしても、一族や資産を守ることはできないばかりか、自分ひとりの身を守ることすら難しいのではないでしょうか。

 

「天災リスク」を回避する上では、物理的に日本外に資産を移すことにより、ある程度のリスクは回避可能だと思います。その意味では、シンプルに解決策が考えられるかもしれません。

 

もちろん「地政学リスク」も日本国外に資産を移せばかなり抑え込むことは可能です。ただ、それだけですべてが解決するという程シンプルなものではありません。

 

もし仮に日本が戦争状態になったとしたら、恐らく国家総動員法等が施法され、国民に私権制限がかかり、自身が保有している資産が、必ずしも目減りすることなく保全されるといった保証はないからです。

 

また、天災リスクと地政学のリスクが具体化すれば、さらに「財政赤字リスク」が高くなることになります。

最も警戒すべき「日本とロシアの戦争」というリスク

そのなかでいま、最も懸念されているのは地政学リスクではないでしょうか。中国からの軍事リスクが取り沙汰されますが、日本にとって中国からの最大のリスクは、日本国内部からの切り崩しであって、軍事的なものでは決してないと考えられます。

 

日米安全保障条約がある限り、中国は日本に攻撃を仕掛けてはこないでしょう。なぜなら、世界第2位の米国国債保有国である中国にとって、日本を攻撃することは米に攻撃することと同義となります。米に開戦すれば、それらがすべてチャラにされるからです。

 

我々がいま、最も警戒しなければならない軍事的なリスクは、「日本がロシアと一戦を交えるリスク」ではないでしょうか。

 

ロシアとアメリカの相互依存はかなり低いという現実があります。そうなった場合、日本とロシアは国境を接していますから、日本が戦場になる可能性があります。さらに戦費が増えて予算も増額せざるを得ず、国民負担が増加することが予想されます。

 

出典:防衛省・自衛隊「我が国周辺におけるロシア軍の動向について」
[図表]極東方面・北方領土におけるロシア軍の動向 出典:防衛省・自衛隊「我が国周辺におけるロシア軍の動向について」

 

また、自衛隊だけで戦うのではなく、国民が徴兵される可能性も出てくるわけで、その場合には、ある一定年齢の国民、特に男性等が出国禁止となる可能性も出てきます。

 

ここまでは起こりうるリスクを説明しましたが、それでは実際にはどのようにこれらを回避すべきかについて述べていきたいと思います。

 

まずは具体的に「どこに資産を分散させていくか」という、具体的な内容を解説していきましょう。

 

次ページ「資産保全先」を具体的にピックアップ&考察する

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