「命尽きるまで働くしか…」自営業者の年金問題、あまりにも少なすぎる受給額【CFPが解説】

「命尽きるまで働くしか…」自営業者の年金問題、あまりにも少なすぎる受給額【CFPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

年金受給年齢までずっと自営業であれば、年金は国民年金だけ。しかし、令和4年度の年金保険料は月額16,590円、満額の受給額は月額64,816円と、とてもではありませんが、これだけで老後生活を賄うには無理があり、事前に何らかの対策が必要です。しかし、30年にも及ぶ景気低迷の中、思い通りの資産形成が進んでいる人ばかりではありません。厳しい現状を見ていきます。

国民年金、満額受け取っても「69,662円」足りない

それでは、国民年金と厚生年金の制度を確認したところで、本題に戻りたいと思います。
自営業者の方が受け取れる国民年金の年金額は、満額受け取ったとしても月に64,816円です。この金額で、毎月の生活費を賄えると思いますか? 恐らくほとんどの人がNOと答えると思います。

 

実際に、総務省統計局の家計調査では、無職単身世帯の月の支出は134,478円となっています。ということは、年金を満額で受け取ったとしても、69,662円足りない計算になります。

 

65歳の日本人男性の平均余命は約85歳です。毎月69,662円足りないとすると…

 

69,662円 × 12ヵ月 × 20年 = 16,718,880円

 

およそ1,670万円、自分でなんとかしなくてはいけないということです。

 

さらに年金制度は、物価の上昇についていけない仕組みになっています。この先、物価が5%上がったとしても、受け取れる年金額は5%アップしないのです。昨今、物価がどんどん上昇していることから、不足額はもっと膨らむでしょう。また、この支出額には介護費用等、不測の事態の費用は含まれていません。もし要介護状態になったり、大きな病気をしたりすると、もっと不足額は膨らみます。

 

ちなみに、厚生労働省令和2年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、国民年金の受給平均額は56,358円となっています。年金保険料を40年間支払っていない場合、受け取れる年金額は減らされてしまうので、もし保険料を満額を支払えていない人は、さらに不足額が増えてしまいます。

不足は貯蓄を取り崩すしかないが、貯蓄がない人は…

では、この不足額を補うにはどうしたらいいでしょうか。方法は2つです。1つは貯蓄を取り崩す、そしてもう1つは収入を得る=働く、という方法です。

 

取り崩せる貯蓄がある人は、国民年金の年金額が少なくても何の問題もありません。では、取り崩せる貯蓄がない人はどうしたらいいのでしょうか。収入を得続ける、すなわち働くしかありません。

 

国民年金のみの受給者の方は、年金をもらい始めるまでにしっかり貯蓄をしておくか、65歳を過ぎてもずっと働き続けるか…。

 

貯蓄ができたのに、娯楽等で使い果たしてしまったという人は自業自得かもしれません。しかし、貯蓄をしたくても出来なかった人にとって、年金をもらえる年齢を過ぎても働き続けなくてはいけないというのは、酷な現実なのではないでしょうか。
 

 

高木 智子
ヨージック・ラボラトリー CFP

 

 

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