自営業の夫、逝去…妻「死ぬまで働かないと、生活ができない」あまりに厳しすぎる現実【CFPが解説】

自営業の夫、逝去…妻「死ぬまで働かないと、生活ができない」あまりに厳しすぎる現実【CFPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の公的年金制度には、夫に先立たれた妻の生活を守るため「遺族年金」が整備されていますが、サラリーマンの妻と自営業の妻では、その手厚さに大きな開きがあります。二人三脚で自営業を営んでいた子のない夫婦のケースを例に、自営業の夫に先立たれた妻の年金シミュレーションを見ていきます。

50歳女性、夫婦二人三脚で店を経営してきたが…

「これまで夫婦でリフォーム店を経営してきました。ところが先日、夫が突然心筋梗塞で亡くなってしまったのです。1人では店の経営が難しいため、畳むことになりそうです。子どもはなく、頼れる身内もいません。この先どうやって生活していけばいいのか…。すごく不安です」

 

夫婦2人で自営業を営んでいた場合、夫に先立たれてしまった妻は、

 

①仕事を続けられなくなることから、収入が断たれる

②世帯で受取れる老後の年金が少なくなる

 

という2つの問題に直面することになります。

 

そこで公的年金の制度には、老後に受取れる「老齢年金」だけでなく、一家の働き手が亡くなった時に家族が受取れる「遺族年金」という制度があります。一家の働き手が亡くなってしまった遺族の生活を、助けるための制度です。

 

しかし、この「遺族年金」ですが、国民年金のみに加入している自営業世帯にとっては受給要件がかなり厳しく、受取れない人が多いのです。

遺族年金は「誰が」「いくら」受取れるのか?

それでは、「遺族年金」の制度を確認してみましょう。

 

「遺族年金」には「遺族基礎年金」(国民年金加入者向け)と、「遺族厚生年金」(厚生年金加入者向け)の2種類があります。どちらを受取れるかは、亡くなった人の年金の加入状況によります。

 

亡くなった人が、

 

●自営業者等の場合(第1号被保険者)→「遺族基礎年金」

●会社員・公務員等の場合(第2号被保険者)→「遺族基礎年金」+「遺族厚生年金」

 

を受取ることができます。

 

次に、遺族年金は誰がいくら受取れるのでしょうか。図表にまとめました。

 

※子の加算:1人目・2人目は各224,700円、3人目以降は各74,900円
[図表]遺族年金受取額早見表 ※子の加算:1人目・2人目は各224,700円、3人目以降は各74,900円

 

この図表をご覧いただくとわかるように、国民年金のみに加入している自営業者が受取れる「遺族基礎年金」は、子どもがいないと支給されないのです。ということは、冒頭の50歳女性の場合は、夫亡きあと「遺族年金」を受取ることができません。

 

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