反騰した米国株式市場
<実質金利が低下基調に大きく転換>
■7月の米国株式市場は、10年国債利回りの低下と期待インフレ率の緩やかな上昇を反映して、米実質金利が低下基調へ大きく転換したことで、グロース銘柄を中心に堅調となりました。米国の主要3指標はNYダウが前月比+6.7%、S&P500種指数が同+9.1%、NASDAQ総合指数が同+12.3%でした。
金融相場的な色彩が強まる
<12ヵ月先予想EPSは前月比マイナス転換>
■株式と業績、債券価格との相関を調べると、7月は業績との相関がマイナスに転ずる一方、債券価格との相関を強めています。株式市場は業績見通しに一旦目をつぶり、足元の金利低下に着目することで、金融相場的な色彩を強めているようです。
■現在、S&P500種指数採用企業の4-6月期決算発表が続いています。リフィニティブによれば7月29日の決算進捗率は56%で、増益率(当期利益)は前年同期比+7.7%です。ただ、エネルギーセクターを除くベースでは同▲2.6%と減益です。また、12ヵ月先予想EPSは7月末に前月比▲1.2%と20年5月以来のマイナスとなりました。業績は悪化傾向を示しています。
ほどよい景気後退を織り込む。もう一段の業績悪化には注意が必要
■株式市場は2四半期連続して前年比マイナスとなった実質GDP成長率の発表などを受けて、ほどよい景気後退を織り込み続けているようです。ただ、今回のGDP統計では民間需要が鈍化していることが明らかになりつつあり、年後半に雇用の悪化を伴う景気後退に入るリスクがあります。
■4-6月期の業績は悪化しましたが、年後半については少しずつ下方修正されている程度です。米国株式市場は当面、金利低下がけん引役となりそうですが、今後は本格的な景気後退と業績のもう一段の下方修正には留意する必要がありそうです。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『金融相場的な色彩を強める「米国株式市場」…今後の展開は?【専門家が解説】』を参照)。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
投資情報グループ