一戸建ての階段がきつくなり入居を決めた
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大学の学長まで勤め70歳で引退した夫と、都内とは思えない広い庭つきの瀟洒な2階建の自宅で暮らしていた芝本さん。ガーデニングとフラワーアレンジメントが趣味で、部屋の中には自身でアレンジした花がたくさん飾られていました。
芝本さんが77歳のときに夫が急逝します。ショックを受けた芝本さんは庭の手入れにも熱が入らなくなり、家の中で読書ばかりして過ごすようになりました。動かなくなると体の衰えは早く、膝と腰に強い痛みを感じるように。整形外科へ行くと、体を動かしましょうと忠告されますが、なかなか実行には移せません。
そうこうしているうちに、家の外階段、そして屋内の階段を上るのも億劫になってきます。大好きだった掃除にも力が入らず、掃除の代行業者に来てもらうようになっていました。遠方で暮らすひとり娘が里帰りしたときに「お母さん、このままだと歩けなくなって、ここでは暮らせなくなるよ。マンションに引っ越す?」と提案してきます。住み慣れた家を離れるのは寂しく感じましたが、嫁ぎ先の親と同居している娘に介護を頼むわけにもいかず、娘の意見に従うことにしました。
分譲マンションより老人ホームという選択
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次に娘が訪ねてきたときに持ってきたのは、たくさんの老人ホームのパンフレット。芝本さんは一般的な分譲マンションをイメージしていましたが、「自立型」の老人ホームであれば、自由にしたいことができるし、マンションと相違ない、しかも何かあったときにはすぐに対応してもらえると聞き納得しました。緑の多い場所で、ガーデニングができることを条件にピックアップし見学へ。最終的に館内に花をたくさん飾ってあった自立型の老人ホームに決めました。
部屋は40平米、ひとりで暮らすには十分です。車いすでの移動にも十分対応できる余裕があります。お願いすれば、担当スタッフが毎日、部屋を訪ねて安否確認してくれるという安心感もポイントです。
「分譲マンションを選ばず良かった」と胸をなでおろしました。食事は自炊もできますが食堂の料理も最高。元ホテルのシェフがメニューを開発しているらしく、美味しいメニューばかりで食事に関してはとても満足していました。
入居者の声に悩まされる日々
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しかし、芝本さんは日に日にストレスを抱えるようになります。初日から気になったのは、入居者の話し声。食堂や談話室はもちろん、廊下なども賑やかで、至る所でワイワイと活気のある雰囲気。シーンと静まり返っているよりはいいのかもしれませんが、芝本さんには少々騒がしく感じました。
耳の遠い入居者も多いのでしょう。聞こえが悪いと、ついつい声が大きくなってしまいます。夫も耳が遠く、話し声が大きくなってしまう人でした。補聴器を嫌う人もいますから、「仕方がないこと」と納得するしかありませんでした。
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