(※写真はイメージです/PIXTA)

「大学受験はゴールじゃない」という言葉をよく聞きます。受験を終えて数年が経過したいまでも「受験はゴール」だと確信している人がいます。9浪して27歳で早稲田大学に合格した濱井正吾氏が『浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

妥協せずやり抜いた経験は将来にプラス

▶「受験の考え方」大学受験はゴールじゃないと思う/重要度★★★★★

「大学受験はゴールじゃない」という言葉をよく聞きませんか?
「入った後が大事」
「それから先の人生を考慮して進路を決める必要がある」

 

など、多くの教育者が学生に注意喚起をしていますが、私はいつもこの言葉を聞くと違和感を覚えずにはいられませんでした。

 

そして受験を終えて数年が経った今でも確信していることがあるのです。「大学受験はゴール」であると。特に多浪生にとっては。合格した後が大事という人は、おそらく生徒が燃え尽き症候群に陥る危険性を危惧して言っているものだと思います。

 

しかし、合格に向けて必死に取り組まなければならない受験生に不安を煽る必要はないですし、そもそも必死に勉強して難関大学に受かる人はその後の人生もうまくいくことが多い印象です。

 

私も過酷な環境から難関大を合格することに対して人生を燃やしてきた人間で、合格通知を得た時はやり遂げた、やり尽くした感覚がありました。でも、結果的に大学に入ってからも学問に加えて動画出演などにも精力的に活動でき、希望する業界に就職もできましたし、書籍の出版という長年の夢もご縁があって叶えていただきました。

 

これができたのは、「無理のハードル」が高くなったことに他なりません。

 

それまでは些細なことにも気後れしていましたが、受験という経験を積んでからは、何事に対してもまず「よし、やってみよう」と思えるようになったのです。

 

私はよく、偏差値40の高校に通い、be動詞がわからない状態から9浪して早稲田大学に入ったことを人に説明するとき、野球未経験の人間が甲子園に出場したようなものだと説明することがあります。少なくとも自分はそのように人生における偉業を成し遂げたという感覚がありました。

 

知人の甲子園経験者も、サンプル数は少ないですが人生を野球に懸けて達成した経験があるからか自信に満ち溢れていましたし、難関の試験に合格して立派な仕事に就いたり、プロジェクトリーダーを任されたりと活躍しています。やはり彼らは「無理のハードル」が高く、成功するために努力を積み重ねることが当たり前だと思っているのでしょう。

 

私にとっても同じことが言えます。大学に入ってからの人生も辛いことはありましたが、受験生活に匹敵するような辛いことなどはまったくありませんでしたし、あれを乗り越えて目標を達成できたのだからなんでもできると思えたわけです。

 

早稲田大学教育学部国語国文学科の先輩で芸人の高木晋哉さん(ジョイマン)という方がいますが、高木さんは大学に入った後、燃え尽き症候群に陥り退学しました。それでも芸人として成功できたのはやはり、大学受験で経験した苦労や、そこで培った思考力・努力する習慣がもととなっていると思うのです。

 

現役生の皆さんも、決められた期間で目標を設定し、妥協せずやり抜いた経験は、大学に入学してから、就職してからの人生を前向きに生きる上でプラスになります。

 

大学受験はゴールです。大事なことなので2回言いました。

 

次ページ「早慶落ち」を名乗っても痛々しいだけ

本連載は濱井正吾氏の著書『浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

浪人回避大全

浪人回避大全

濱井 正吾

日本能率協会マネジメントセンター

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