(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

中国の4-6月期GDPはゼロ成長

■中国国家統計局は15日、主要経済指標を発表しました。4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+0.4%と、市場予想の+1.2%を下回り、前期の+4.8%から急減速しました。

 

(注)データは2018年1-3月期~2022年4-6月期。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
実質GDP成長率 (注)データは2018年1-3月期~2022年4-6月期。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

■ゼロコロナ政策による上海市などの都市封鎖(ロックダウン)の影響で、経済への打撃が明らかになりました。前期比でみると▲2.6%となり、新型コロナの流行が始まった2020年1-3月期以来のマイナスとなりました。

 

<6月の鉱工業生産、消費は回復、投資はほぼ横ばい>

■ただし、上海市などのロックダウンが解除されたことから、6月の経済指標は改善傾向を示しており、景気は足元で回復しているとみられます。

 

■6月の鉱工業生産は前年同月比+3.9%と、前月の+0.7%から伸びが加速しました。上海市のロックダウンが解除され、工場が操業を再開したことや物流面の混乱が和らいだことで、自動車を中心に生産活動が大きく回復しました。

 

(注1)データは2019年4月~2022年6月。 (注2)固定資産投資は年初来の前年同期比。鉱工業生産、小売売上高は前年同月比(各年2月は年初来の前年同期比)。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資 (注1)データは2019年4月~2022年6月。
(注2)固定資産投資は年初来の前年同期比。鉱工業生産、小売売上高は前年同月比(各年2月は年初来の前年同期比)。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

■6月の小売売上高はロックダウン解除などコロナ規制の緩和を受けて、前年同月比+3.1%と、前月の▲6.7%からプラスに転じました。自動車、宝飾品、化粧品などが急回復しました。

 

■1~6月の固定資産投資は前年同期比+6.1%と、1~5月の+6.2%とほぼ横ばいでした。政府の景気対策の下でインフラ投資が+7.1%と加速した一方、住宅市況の停滞で不動産開発投資が▲5.4%と、減速しました。

新型コロナ規制は徐々に緩和へ

■中国では、新型コロナ対策の規制緩和が徐々に進んでいます。これまで中国当局は、首都北京への新型コロナウイルスの流入を警戒し、2020年3月以降、海外から北京に到着する直行便を停止していました。しかし、北京市が7月6日から実施している「新型コロナウイルス感染症対策プラン」では、同市の新型コロナ対策を調整し、秩序に基づいて段階的に、北京と結ぶ8路線の国際旅客便を再開することが示されました。

 

■中国当局による新型コロナウイルス対策の運航制限が緩和されたことを受けて、全日本空輸(ANA)は7月11日、成田―北京線で、旅客便は北京発のみながら、直行便の運航を2年3ヵ月ぶりに再開しました。

 

■日本航空(JAL)は7月16日から北京に近い天津への臨時運航を始めました。当面は毎週土曜日に週1往復する運航です。

 

■また、中国政府は、国外からの入国者に義務づけている隔離期間を短縮する方針を示すなど、水際対策の見直しも進めています。

中国景気は7-9月期以降持ち直しへ

■中国の4-6月期GDP成長率は下振れしたものの、6月の月次主要経済指標は景気が持ち直し局面に入ったことを示唆しています。鉱工業生産は自動車を中心に回復し、既に上海市のロックダウン以前の水準へ回帰していること、固定資産投資の伸びは小幅に鈍化したものの、インフラ投資の伸びは加速していること、消費では自動車、宝飾品、化粧品など単価の高い商品の販売が持ち直していることから、足元の景気は回復しているとみられます。

 

■さらに、今後、中国政府が秋の共産党大会に向けて景気刺激策を積極化することや、新型コロナ対策の規制を徐々に緩和していくことで、7-9月期以降のGDP成長率は再加速する見通しです。急減速した中国景気は年後半に持ち直すとみています。

 

■弊社は、4-6月期GDP成長率を受けて、2022年のGDP成長率見通しを前年比+4.2%、2023年を同+5.2%と、予想しています。

 

■ただし、一部の都市では再びコロナ感染が広がり始めているため、今後の動向を注意する必要があります。

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国の4-6月期GDPはゼロ成長…今後の展開は?【専門家が解説】』を参照)。

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

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