自社社員が逮捕!マスコミ報道も…企業の明暗を分ける「社員不祥事の事後対応」正解は【弁護士が解説】

自社社員が逮捕!マスコミ報道も…企業の明暗を分ける「社員不祥事の事後対応」正解は【弁護士が解説】
(写真はイメージです/PIXTA)

粉飾決算や相場操縦のように組織的なものから、痴漢や暴行など個人的なものまで、社員が起こしうる犯罪の種類は多岐にわたります。いずれにしろ、もしも自社社員が事件を起こし企業名がマスコミに報道されてしまった場合、企業が被るダメージは甚大です。企業としてはどのような対応をとるのが適切なのでしょうか。企業法務に詳しいAuthense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説します。

即刻解雇したいが…ハードルが高い日本の法律

社員が逮捕されて企業に影響がおよんだ場合、逮捕された社員に対してはどのような対応を取ることができるのでしょうか?

 

主な対応策は、解雇などの処分と損害賠償請求の2点です。

 

なお、これらはいずれかを選択すべきということではなく、両方の対応を取ることも可能です。むしろ、懲戒解雇が認められる事案であれば、損害賠償請求が認められる可能性も高くなるでしょう。

 

解雇などの処分を検討・実行

社員が逮捕されてマスコミに報道されてしまった場合には、就業規則に基づき、処分するか否かを検討することとなります。

 

ただし、日本の法律において企業が一方的に社員を辞めさせる懲戒解雇のハードルは、非常に高いものとなっています。犯罪の内容などによっては懲戒解雇が不当とされ、むしろ企業側が損害賠償請求をなされる可能性が否定できません。

 

そのため、懲戒解雇などの処分を検討する場合には、あらかじめ弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

 

損害賠償請求

社員の逮捕やマスコミへの報道により企業に影響がおよんだ場合には、逮捕された社員に対する損害賠償請求を検討することができます。

 

ただし、損害賠償請求したからといって、その請求が必ずしも認められるわけではありません。企業側が、具体的にどのような損害が発生したのかを証明しなければならず、社員が罪を犯したことにより、その損害が発生したという因果関係も証明する必要があります。

 

たとえば、風評被害による売り上げの低下を損害として主張する場合、社員の犯罪→社員の逮捕→マスコミによる報道→顧客離れ→売り上げの低下という因果の流れをたどることになりますが、このすべてを主張・立証しなければなりません。顧客離れや、売上の低下が、本当に、社員の逮捕や、マスコミによる報道の影響なのかどうかという点は、非常に立証が難しいです。

 

また、社員の犯した罪が軽微である場合や企業へさほど影響がおよんでいないと判断された場合などには、企業からの損害賠償請求が認められる可能性は低いでしょう。そのため、逮捕された従業員への損害賠償請求を検討する際には、事前に弁護士へ相談してください。

 

相談をすることで、損害賠償請求が認められる可能性があるかどうかなど具体的なアドバイスを受けることができます。

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士
 

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本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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