写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏による、最新のフィリピンレポート。今回は、フィリピンでも高まるインフレ懸念とその対応としての中央銀行の利上げ政策、さらに住宅不足への対応として日独から技術導入しマーケットに切り込む大手ゼネコンの動向について解説します。

住宅不足が顕著なフィリピンで勝機を模索

上場ゼネコン大手の「メガワイド社(MWIDE)」は、住宅開発会社の「PHirst Park Homes、Inc.(PPHI)」と住宅建設の契約を締結したと発表しました。「PPHI」は、三菱商事とフィリピンの大手ディベロッパーセンチュリープロパティーの合弁会社です。

 

「MWIDE」は、カビテの「PPHI」分譲住宅地で、プレキャスト工法を活用して1,664戸の住宅を建設する予定です。また、2018年にも同じ州に「PPHIタンザ」の住宅ユニットを建設しました。この契約により、メガワイドのプレキャスト戸建住宅セグメントでのプレゼンスがさらに強化されます。

 

筆者も2年半ぶりにフィリピンに入っており、さまざまなフィリピン企業や不動産プロジェクトの進捗を現場に足を運び、実際に企業のトップや幹部に会い話しを聞いていますが、複数の日本やドイツの企業との提携を進めながら技術導入している東南アジア最大の「MWIDE社」のプレキャスト工場は、なかなかの圧巻でした。効率化された高回転率のの製造ラインを最低限の人員で回しているため、抵コストと工期の短縮を実現しています。

 

また、それぞれのプロジェクトのプレキャスト住宅部品を製造するために、オンサイトのプレキャスト成形およびコンクリートバッチ処理プラントを素早く臨機応変に設置するオンサイトプレキャスト工場の展開も同社の強みです。

 

「MWIDE社」の会長兼最高経営責任者であるエドガー・B・サアベドラ氏は、フィリピンの構造的な住宅不足問題への取り組みを支援したいと語っています。このセグメントでの長期的に需要が強いことをベースに、バリューエンジニアリング機能と革新的な技術を通じて手頃な価格で戸建住宅の品質を向上させる機会を提供していくことにも言及しました。

 

「Housing and Urban Development Coordinating Council」のデータによると、フィリピンの住宅不足は2011年から2016年で570万戸となり、構造化しています。国として、今後6年間で1日あたり2,600戸の住宅を供給していく必要があるとも言われています。

 

※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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