(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです(取材日:6月14日)。本記事では、東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)のオフィスビル平均空室率(6月9日三鬼商事公表)をはじめとしたさまざまなデータをもとに、中村氏が足元のJ-REIT市場を整理するとともに、今後の見通しを考察します。

足元のJリートの動向と当面の見通し

一時1940ポイントを割り込む動き

東証REIT指数は、国内の経済正常化への進展期待から6月10日に2025.76ポイントをつけた。その夜に発表された5月の米CPIが予想以上に強かったことで、FRBによる金融引き締めが強化されるとの見方が強まり、14日には1940ポイントを割り込む動きとなった。

 

とはいえ、グローバルリートが大きく調整する流れのなかで、イールドスプレッド面での割安感や国内の経済正常化の進展期待等が下値を支え、下落率は相対的に小さくなった。

 

テクニカル的には200日線である2010ポイント程度が上値抵抗線、下値は心理的節目の1900ポイント程度と想定する(5月末時点のNAV水準が1890ポイント程度)。

 

指数寄与度の大きいオフィスリートのファンダメンタルズ面の改善は鈍く、またグローバルマーケットに不透明感が残るなかでは仮に200日線を超えた場合でも心理的な節目である2100ポイント程度が上値目途になるとの見方を維持する。

 

一方、グローバルリートにもう一段調整圧力が強まった場合には1800ポイントが下値の目途として意識されよう。

Jリートをめぐる各投資主体の動き

2022年5月の投資主体別売買動向(Jリート)では、委託売買代金の7割程度を占める海外投資家は4ヵ月連続の買い越し後、売り越しに転じた(図表5、6)。

 

小数点の四捨五入の関係で合計値が必ずしも100になるとは限らない (出所:東証データを基に東海東京調査センター作成)
[図表5]委託合計に対する投資主体別売買代金比率 小数点の四捨五入の関係で合計値が必ずしも100になるとは限らない
(出所:東証データを基に東海東京調査センター作成)

 

[図表6]Jリートの投資主体別売買動向(2022年5月まで)

 

一方、個人は5ヵ月連続の売り越し。法人は3月、4月で大きく売り越した後、5月は133億円の買い越しに転じた。

 

法人の内訳を見ると、投資信託が222億円の買い越しとなった一方、金融機関は3ヵ月連続の売り越し。銀行が5月も170億円の売り越しとなり、5ヵ月連続のポジション調整の動きとなった。

 

日銀は2月に合計で24億円の買付を実施(2月14日と2月22日にそれぞれ12億円ずつ買付)したが、5月末までの買付は見られなかった(ただし6月14日に12億円を買い付けている)。

 

(取材日:6月14日)

 

 

中村 貴司

東海東京調査センター

投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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